・新源泉で財務改善めどのウソ

温泉の温度を確かめる駒ケ根市の中原市長

 第三セクター駒ケ根高原温泉開発(社長・中原正純市長)は、
新源泉の確保で今後の財務改善にめどが立ったとして、
早太郎温泉郷の14施設に供給している温泉の使用料を
7月から20%減額することを決めたが、
市から財政支援を受けている赤字体質を放置したままの値下げに
市民の疑いの目が向けられている。


 同社は各宿泊・温泉施設に対し、配湯量に応じた基本額と維持費を使用料として徴収している。
温度が高く泉質の良い新源泉からの配湯が7月にも開始できる見通しのため、
要望の多かった増湯に応じ、他の温泉地に比べ割高な使用料を引き下げることにした。


 増湯で140万円程度の増収になり、収入への影響はないとしているが、
同社は2006年9月期で約9000万円の累積赤字を計上、約3億7000万円の債務残高を抱える。
財政支援策として市と村からは毎年、約4700万円の入湯税を補助されている。


 今後の経営計画として15年9月期までに短期借入金を全額返済し、18年9月期までに黒字化を目指しているが、
入湯税の納税を免除するという、温泉施設としての最低限の義務さえ放棄している状態では、
数字のつじつま合わせの「黒字化」に過ぎない。


 早太郎温泉は1994年の開園だから、12年間の補助で5億6千万円もの公的補助を受けていることになる。
累積債務とあわせて9億3千万円を弁済して、はじめて黒字といえるはずです。


 唯一の収入源である温泉使用料を値下げするなら、自治体からの財政支援を断ち切るべきです。
これでは、入湯税の補助を隠れ蓑にして、早太郎温泉郷の14施設に迂回支援していると言えよう。
民間施設に財政支援をするための裏工作に第三セクター駒ケ根高原温泉開発が利用されている。