・飲酒運転撲滅の裏側

4日から10日まで、「年末の飲酒運転取締強化週間」が全国一斉に行われています。
年末年始は、忘年会や新年会で酒を飲む機会が一年で最も高まる時期ですから、
先駆けて、意識の啓発を狙っているのだと思います。


ところが、飲酒運転を取り締まる側の警察官や、
根絶のための立法を任された議員による飲酒運転摘発が後を絶ちません。
今月の発生事例でも、悪質な例があります。

白昼に酔って国道を蛇行 通報で岩手県議逮捕

岩手県警紫波署は8日、同県議の川村農夫容疑者(52)=矢巾町土橋=を道交法違反(酒酔い運転)の疑いで現行犯逮捕した。
調べでは、川村容疑者は8日午前11時すぎ、同県紫波町江柄の国道396号で酒に酔って車を運転した疑い。目撃者からの通報で、交通機動隊員が蛇行運転をしている車を発見、川村容疑者は飲酒運転を認めた。「8日未明まで飲んでいた」と供述しているという。
川村容疑者は、民主党系会派に所属し、現在2期目。同党岩手県連などによると、川村容疑者は7日に盛岡市内で行われた県議会の忘年会で飲食した後、深夜に同市内の議員宿舎に帰り、8日午前9時過ぎに宿舎を車で出たという。
同県議会は飲酒運転根絶のために罰則強化などを国に求める意見書案を11日の本会議に提案予定で、川村容疑者は所属会派代表として文書の取りまとめにあたっていた。

千葉県警の巡査長が酒気帯びで事故

2日午前1時10分ごろ、千葉市美浜区高洲2の市道交差点で、千葉県警成田国際空港警備隊の男性巡査長(30)運転の乗用車が、中央分離帯(高さ約20センチ、幅約90センチ)に衝突、乗り上げた。巡査長から、呼気1リットル当たり0.3ミリグラムのアルコールが検出されたため、千葉西署が道交法違反(酒気帯び)容疑で検挙した。
調べでは、巡査長は1日夜、電車で職場の宴会に参加。宿泊先の同僚の官舎までは電車で戻ったが、その後、官舎に止めていた自分の車を運転し、事故を起こした。現場は片側2車線の直線道路で、ハンドル操作を誤ったらしい。
県警は「警察官にあるまじき行為」として、巡査長を懲戒処分にする方針。

警部補を飲酒運転・窃盗容疑で書類送検、懲戒免職 /香川

県警は1日、飲酒運転と万引きをしたとして事情聴取していた県警生活安全部地域課係長の男性警部補(49)を、道交法違反(酒気帯び運転)と窃盗容疑で高松地検丸亀支部書類送検し、同日付で懲戒免職処分とした。また、監督責任を問い、同課管理官の男性警視(54)を本部長注意とした。
調べでは、警部補は先月26日朝、自宅で焼酎を飲んだ後、坂出市内のホームセンターまで軽乗用車を運転、店内でカッターナイフとニッパー(計2960円相当)を盗んだ疑い。庵下孝首席監察官は「警察官がこのような行為に及んだことは誠に遺憾。再発防止に努めたい」とコメントした。
県警側は「社会的責任も考え、極めて厳正に処分した」と厳しい姿勢で臨んだことを強調する一方、警部補の氏名公表は拒んだ。報道陣の取材に対し、池内隆雄監察課長は「一般の方の名前の公表基準を当てはめた」などと説明。一方、事件の原因として当該職員の倫理観の欠如を挙げ、「優秀で実績ある人間。まさかという感じだ」と率直な思いを述べた。再発防止策としては職務倫理の教養の徹底を考えているという。


北から南まで、飲酒運転には地域性がなく全国で発生しているということでしょう。
飲酒運転根絶のための罰則強化を国に求める意見書案を、所属会派代表として取りまとめていた県議。
飲酒運転で万引きに出かけた警部補。
犯罪を認識して、意図的に飲酒運転を行っている悪質な例ですが、珍しくなくなってきています。


飲酒運転は未必の故意による犯罪と言われますが、取り締まる側の人間が侵している現実を考えると、
「未必」を外した『故意』による犯罪と定義されてもいいんじゃないかと思います。


これだけ全国的に、頻繁に撲滅運動が展開されていながら、飲酒運転に及ぶのは、
犯罪を引き起こす意識があってこそだと考えられるからです。
徹底的に飲酒運転撲滅運動を継続し、徐々に飲酒運転の刑罰を引き上げていくことが必要ではないでしょうか。