・お上に従え、奈良も駒ヶ根も同じ

奈良県で2010年に開かれる「平城遷都1300年祭」のマスコットとして、市民団体が公募していた“民間キャラクター”に2日、ずんどうのシカがマントを羽織った「まんとくん」=写真(左)=が選ばれました。

不評となっている主催協会の公式キャラ「せんとくん」=写真=(右)に対抗し、民間の「クリエーターズ会議・大和」が619点の応募から選んだものです。

たかがマスコットの好き嫌いの問題なのでどっちでもいいと言ってしまえばそれまでですが、問題の本質を考えると根が深い。


「気持ち悪い」、「仏教を冒涜している」と市民や仏教界からは嫌われている公式キャラがどうやって誕生したのか。

もともと「平城遷都1300年」を祝すことが目的ですから、民の祭りではなく、『お上の政(まつりごと)』です。

公募などもってのほかで、「お上の意向に従えぬはけしからん」というのが本音でしょう。


都を移すという行為は、お上の威光を示していて、民が口を挟む余地など微塵も与えられていませんでした。

1300年たった現在でも、根っこのところは変わっていないんだと、お上も民も再認識できたのでは。


さて、駒ヶ根市でもお上のお達しが民に告げられようとしています。

「協働のまちづくり条例」という名の地方自治体の自主法律です。

問題なのは、自治組織への加入を義務化したことです。


この条例は、高圧的な手法だった中原前市長でさえ上程を見合わせたほど、異論が出されています。

自治組織は、町内会や常会、自治組合といった類のものですが、あくまでも住民自治に基づくものであって、お上に強制されるべきものではありません。

条例を作った職員は、下記の最高裁判決を知っていたのでしょうか。

自治会は、会員相互の親睦を図ること、快適な環境の維持及び共同の利害に対処すること、会員相互の福祉・助け合いを行うことを目的として設立された権利能力なき社団であり、いわゆる強制加入団体でもなく、いつでも退会できると解するのが相当である』
自治組織の大事さは万人が認めるところだと思いますが、だからといって条例で強制加入させて良いことにはなりません。

地域の住環境を守るためには住民の積極的な関与が重要であることを、住民相互が理解して自主的に活動するための組織作りに励む。

行政はこれを側面から支援するのが本来のあり方だと思います。


子育て十か条といい、自治組織への強制加入(努力義務)といい、「良いことを押し付けて何が悪い!」とする駒ヶ根市の高圧的行政が福祉や教育、市民生活を圧迫していると思います。