・結果が出ないは、やらないと同じ

ガソリン価格が180円を超えて200円も視野に入ったことで、自動車の使用を控える動きが目立ってきました。

25円程度の道路特定財源暫定税率が重くのしかかっているからです。


先日の根本・元矢祭町長の講演で「道路は国家100年の計。道路は大事なものだ。」との話がありました。

「ただし、道路建設は国家の最重要課題なのだから、暫定税率などと言わずに優先順位の高いものから予算を取るべき。」

「優先順位を定めたら、重要度の高いものはすぐに作り、低いものは計画から10年・15年遅れようがかまわない。」

道路にも、必要なものと先延ばしできるものがあるから、その選択に国民の理解を得る必要がある、とのお話です。


まったくごもっとも。

同席した松島・泰阜村々長が「道路財源の確保のために暫定税率の維持は不可欠」と、目先の財源欲しさに大観を示せなかったのとは好対照でした。

現役村長としては、我が村の道路を整備するための予算確保に必死になるのも無理はない。

しかし、金が欲しいからと国家が間違った方向に向いて得られた資金にも飛びつく姿勢が、根本氏との大きな違いでした。

地方自治は金に束縛されている」と言った、松島村長の本音が自らの力不足を嘆いているように聞こえました。


さて、講演が終わり会場からの質問を受け付けることになったので、『小規模自治体の温暖化政策』についてお尋ねしました。

根本氏が地球規模の視野で対策を考えてきた成果を披露してもらおうと思っていたのですが、答えは「何にもしなかった・・。」

余りにも正直に無策だったことを示せる潔さに感服です。


ところが、何もしなかったと言いつつも、北海道の稚内へ出向き100haの太陽光発電施設を視察し、矢祭全戸に相当する3000世帯の電力を賄える見込みをつけてメーカーとの折衝に手がついている。

原子力温室効果ガスを減らすことが、将来へ禍根を先送りすることの罪を考え、代替エネルギーにすぐに踏み出せる下調べと段取りを整えている。

NEDOの主導で作らされた「地域新エネルギービジョン」なども当然終えているが、そんなものは『やった内』に入らない。

何もしていなかったどころか、他の首長なら胸を張ってやっているぞと言わんばかりの成果を持っています。

『結果が出ていないことは、やっていないと同じである』と言われたようで、根本氏の首長としての理念の高さを再確認。


付け加えるなら、根本氏の良さは『志は高いが私欲がない』にあると思います。

「町長の給料が高すぎる。交際費なんてものはいらない。そんなにもらっても使い道に困る。」と、さらりと言ってのける。

根本氏以上の政治手腕を持った人材は少なからずいるでしょうが、私利私欲などの世俗の雑念を超越した幸福を、自他に与えられる人はいるのだろうか。

少なくとも私は逢ったことがない。


苦労をかけてきた奥さんのために町長の座を次に譲りたいと告げた根本氏に、町民のおばさんたちが詰め掛けて涙ながらに「辞めないでください」と訴えかけた話を聞きました。

5期20年務め上げ、全国に矢祭町の名をとどろかせた輝かしい成果を残し、『苦労をかけた妻のために』という勇退するにはこの上ない理由で身を引こうとする者を、利権やしがらみに無関係のおばちゃんたちが必死になって翻意を促す。

町民の期待にこたえて、さらに一期4年間を矢祭町のために尽力された根本氏。

理想の行政と住民協働の姿を見た思いがします。