・北アルプス広域連合のゴミ処理

今朝、ゴミ処理問題で悩んでいる白馬市民の方とお会いしました。

北アルプス広域連合が計画するごみ焼却場の設置で、地域住民との軋轢が生じているようです。

どこでもゴミ処理場は揉めるんですね。


ごみ焼却で周辺に撒き散らされる煤塵などで、子どもの喘息発症に影響が出ているのではないか。

以前の記事で、長野県教育委員会が調べた『喘息児童数』と、上伊那広域連合が調査したダイオキシンの濃度に相関関係が認められると書きました。

白馬で活動されている方が、この記事を元にごみ焼却場の危険性を訴えたことに、北アルプス広域連合が過敏に反応したようです。


同広域連合が地域に配布したチラシには、ダイオキシンと喘息の関係を長野県が認めたことはないと説明されています。

確かに、県が認めたことはありませんが、相互のデータを見比べると因果関係を疑うに十分な説得力を持ちます。

少なくとも、県は相関関係を否定はしていません。

しかし、北アルプス広域の説明では、県がダイオキシンと喘息の関係を否定しているかのような印象を与えるものとなっています。

「ごみ処理施設に関して、最近出ている情報について」 北アルプス広域連合


ゴミ処理施設の建設に都合の悪い事実はできるだけ伏せる。

問題が指摘されたら、論理のすり替えでごまかす。

痛いところを突かれたら無視する。

市民協同の概念に乏しい自治体が陥りやすい罠です。


上伊那広域連合のゴミ処理施設も一昔前に比べれば市民とともに検討するようになりましたが、まだまだ上意下達のところがある。

現状追認のための細かなデーター解析には熱心ですが、革新的な技術導入にはきわめて及び腰です。

ゴミ処理コンサルがノウハウを持つ範疇においては決め細やかな対応を見せますが、コンサルが不得手とする新技術の開発には、行政が独自に調査研究しなければならないので、できるだけ避ける。


でも、時代の流れに乗ったゴミ処理は、出来上がったときには時代遅れになってしまう。

特に、地球規模の気候変動が危機的状況を迎えようとしてる現在では、ゴミを取り巻く諸条件がめまぐるしく変化するので、右へ倣えのコンサル的な手法では限界がある。

行政が市民と協力して先端技術を研究し、地域特性にあったゴミ資源の効果的な利用方法を追求することが求められます。


これは、前例主義が王道の行政職員がとっても嫌がる仕事です。

必要だとわかってもやりたくない。

そこで、やりたくなくてもやらせるのが行政のトップの役割です。


時代の転換点にあって、後を振り返ったままの前例主義で楽をするか。

次世代に視点をおいて、今の利益よりも先の利便性に目を向けられるか。

トップの状況判断の優越がゴミ資源の持つ価値をマイナスからプラスに変えることができる。


上伊那広域のトップは伊那市長ですが、市民の意見を取り入れるようにはなりましたが、次世代の視点は持ち合わせていません。

北アルプス広域は大町市が、連合長である白馬村長と共に主導しているようですが、伊那市長よりもさらにレベルが低いようです。

市長のレベルが低いのは、それを選んだ民意のレベルが反映しているのだと思います。

行政と市民が一体となって、環境問題に積極的に学習する機会を増やし、地域の知識レベルを上げることが求められます。


低いところに合わせるのは楽ですが、次世代からは馬鹿にされます。

高いところに合わせるにはかなりの苦労を伴いますが、未来から感謝されます。

上伊那広域、北アルプス広域の責任者の方々は、どちらを選ぶんでしょうか。

北アルプス広域の住民の方々は、目先の満足で終わらせることなく、30年後の社会で今の自分たちの考え方が受け入れられるのだろうかと真剣に考えたほうがいいと思います。

上伊那広域には未来の評価に耐えられるように積極的に働きかけねば。