・西松事件の国策捜査は官僚に利得

西松事件で行われた国策捜査の成果が発表されました。

あらためて言うまでも無く、マスコミ各社の世論調査のことですが、「小沢は辞任すべき」が半数を超えています。

小沢・民主党代表の秘書逮捕は、当初の目的を達したと評価されているようです。


評価しているのは官僚ですね。

仕掛けたのは麻生総理なのか、自民党なのか、はたまた検察を含めた官僚組織なのかは闇の中ですが、成果を喜んでいるのは官僚組織だけです。

麻生総理の支持率は上がらず、辞任すべきとされた小沢さんよりも次期総理大臣としてはふさわしくないと判断されたのでは立場がありません。

自民党も身内から逮捕者が出てしまいそうで、仕掛けたのだとしたら墓穴を掘ってしまったことになります。


西松事件は、純粋に法律に照らし合わせて重要案件だったから捜査されているのではないことくらい、賢明な国民なら察知していると思います。

しかし、賢明でない大多数の国民はマスコミの報道に流されて世論を形成していきます。

世論を利用して小沢代表を失墜させることをもくろんだ仕掛け人としては、これまでのところ満足できる成果と言えるのではないでしょうか。


郵政選挙の時に、小泉政権がインドの情報機関を利用して、世論誘導に成功したのは関係者の間では有名な話です。

極秘資料とされるリサーチ情報ですが、私の手元にも舞い込んで来るくらいですから広く世間に出回っていると思います。

その中身には感嘆しきりです。

世論を動かすためのピンポイントのマスコミ誘導術が示され、識者の選別、誘導しやすい有権者の分類など、日本国民の動かし方が指摘されている。

そこに描かれたシナリオどおりに小泉元首相が演じきったことで、自民党は現在の2/3の議席を得ることができた。


今回の西松劇場が誰のシナリオなのかは次第に明らかになるのでしょうが、小沢代表を窮地に追い込むとともに政治不信を増幅させる世論誘導が目的だったことが濃厚です。

事件の背景を探るときには、事件の影響で最も得をした存在を最も疑うべきという原則がある。

自民も民主も世論の批判にさらされて政治不信が増大したことで、どちらが政権をとっても政治家主導で大丈夫なのかと国民は不安を募らせている。


ここで登場するのが、官僚だ。

政治家に任せておけないなら役人にお任せください。

政治家の悪行は官僚である検察にお任せください。

官僚による官僚のための政治がしっかりと息づく環境が整えられた。

国民は世論形成のパーツとしてうまく利用されたに過ぎないようだ。

参考図書