・全国に誇れる山の技

 駒ケ根市上穂栄町の安楽寺で、樹齢約200年、高さ約20メートルのケヤキのせん定作業が高所作業車を使わずに、ロープを使って行われました。
ツリークライミングの手法を利用した山林作業の技術です。
・長野日報へのリンク 『巨木米国式せん定 普及団体が駒ケ根で作業 』


「ツリーマスタークライミングアカデミー」の、会員研修として行われました。
 同団体は6年前から、ロープで体を支えて木に登るツリークライミングの普及と指導者の育成、技術を活用した森林、里山の活性化に取り組んでいます。
全国に11支部、会員約320人もいる大きな組織です。
会員の上伊那森林組合職員が指導にあたりました。


先日取り上げた、無残なツリーハウスを引き合いに出すのもいやなんですが、駒ヶ根には全国に誇れる山林作業技術があるのですから、知名度だけで技術が伴わない芸能人を連れてくる必要などまったくありません。
人寄せパンダとして使うならまだしも、技術指導を任せるなんてとんでもないことです。


今回披露された技術はアメリカで生まれたものです。
他所から新しい技術を取り入れること事態は悪いことではありません。
しかし、地元に脈々と引き継がれてきた技術をないがしろにしたままで、新しい技術にばかり目を向けてもダメです。
森林組合は、熟練技術者をどんどん切り捨てたので、若手に技術が伝わっていません。
難しい伐採は、伊那市の業者に依頼しているのが現状です。


10年ほど前までは、昔ながらの高い技術を持った作業者が森林組合の山林作業にも従事していました。
しかし、高齢を理由に引退を余儀なくされました。
個人が持っている技術ではなく、年齢で評価してしまったのです。
その結果、熟練技術が途絶えてしまいました。


目先の利益に気を取られて、過去から未来へ繋ぐべき技術伝承を怠った経営者(森林組合の場合は理事者)の責任です。