・浅川治水、ダム建設に転換

県は22日午前、田中前県政がダム計画を中止した浅川の治水対策について、
ダムを建設し、ため池や遊水地と組み合わせる案を軸に、国土交通省関東地方整備局と協議に入った。


これに先立ち、県の原悟志土木部長は県庁で取材に対し「ダムなし案は実現できないだろう」と述べ、
ダム建設以外の選択肢は技術的に困難_との認識を示した。


新たに計画するダムは、旧ダムと同じ予定地に建設。
前県政でも「河道内遊水地」との名称で検討した経過があるが、
ダム反対派の住民から「事実上のダム」との反発を受け、撤回した経過がある。


ダムの高さを旧計画より縮小することに伴い、長野市の上流部2カ所にある既存のため池を治水に利用。
前県政時代、同市檀田(まゆみだ)で検討した遊水地の整備は見送り、
田子川合流点付近の遊水地は今後必要かどうかを詰める。事業費などの詳細は未定。


ダム建設に反対する住民の間には、洪水時の想定最大流量「基本高水」が過大だとして見直しを求める意見や、
ダム建設予定地の地滑りの危険性を指摘する声も根強い。
村井県政が今後、国との協議を経てダム建設の方針を最終的に決めれば、強い反発を招くのは必至だ。


一方、村井知事は同日朝、県庁での取材に
「『ダムなし』から『ダムあり』まですべてを検討対象とする姿勢に変わりはない」
と述べ、県として最終的な判断を示す段階には至っていない_との考えを示した。


県土木部と国交省との協議については、
「河川整備計画には国交省の認可が必要で、事務方が技術的な打ち合わせをするのは当然だ」
と述べた。


村井知事はこれまで、基本高水は毎秒450トンを維持した上で治水対策を検討する考えを表明。
10月中旬には流域を初めて視察し、今月18、19の両日には上流部と下流部の2カ所で
流域住民の意見を聞く会を開いたが、上流住民の反対の声には耳を傾けることなく、
ダム建設に向けて条件整備に余念がない。


なし崩しにダム建設へ向かう村井県政に、ダム建設の不当性を訴え続けてきた関係者は不安を募らせている。
「現代の科学的知見に基づいて最も適切な判断をしたい」と言っていた村井知事の本音は、

  • 現代の科学的知見=国交省の知見

だったことが明確になりました。


26日に開催されるシンポジウムには、治水の権威である今本京大名誉教授が参加されます。
本当の現代の科学的知見に基づくと浅川の治水はどうあるべきか。
シンポジウムの持つ意味は重大です。
シンポジウム 流域の住民参加はどこへ