・森を見て社会を見ない専門家

駒ヶ根市では、カネボウ不動産の精算により処分されることとなった、大曽倉の山林・原野など約97ヘクタールを、
地域にとって将来好ましくない開発が行われる可能性などを考慮して約5670万円で取得している。


この場所の活用計画などを審議する大曽倉市有林活用計画策定委員会が28日、利活用計画をまとめた。
これによると、森林像を

  • A地区=「多面的な表情と味わい」そのものを楽しむ森
  • C地区=森、水辺、草原等自然を生かした森

と位置付け、市民がつくり出す安らぎの緑の空間、小中学校等の自然、林業体験を通じた教育の場として活用し、
近隣観光資源とのネットワーク化も図っていくとされている。


市民の声を反映させたとされているが、甚だ疑問であります。
駒ヶ根市のHPに意見募集のページが用意されていましたが、最初からリンクが壊れていて
書式がダウンロードできない状態でしたし、改善されないままに閉ざされてしまいまった。
市民の声を聞くという「ポーズ」は見せたが、聞く耳を持たない姿勢が明らかです。


市の林務課に「木の手入れはしても土地は開発するな」と反対を進言した人もいますが、
課長は開発を前提に計画しているとして取り合わなかったようです。
一方、賛同の意見を市に述べたと言う人の話は聞こえてこない。
反対の声はいくらあっても蓋をされ、「聞くに値する反対意見はなかった」ことにされてしまう。


話は横道に逸れますが、この委員会の座長の名前を最近良く目にするなと気になっていました。
調べてみると、風力発電反対派の代表世話人を務めているではありませんか。
信州大学農学部教授との肩書きがあるようですが、専門は森林の「風致」だそうです。


風景概念の構造に関する研究や南アルプスの自然保護も研究している方で、エネルギーに関しては素人です。
エネルギー問題としての風力発電論議の代表に風景の専門家を据えているところに
反対運動の浅はかさが現われていますね。
(話を横道から戻します)


当然、、手をつける必要のない森林でも、風景の専門家を座長に据えてしまえば、
『見栄え良く公園として整備したい』となるのは成り行き。
森林の形成を主目的とするならば、信州大学には山地環境保全学や森林生産利用学があります。
緑地環境文化学の教授を持ってきたところに、駒ヶ根市の思惑が現われている。


駒ヶ根市には、他にも「池山」という「市民が行かない市民の森」があります。
市民が必要としているから整備したのではなく、『市民の森を作ったから市民は活用しなさい』という態度です。


今回の大曽倉市有林もまさしく同じ運命を辿ります。
利用目的はないがとりあえず土地を買ったから、何かに使わないと購入理由が成り立たない。
市民が利用することにすれば名目が立つので、自然林を開発して公園を作ってしまえ!


水源涵養林などの保安林として整備するだけで良いのに、無理やり人を連れ込むための公園を作って、
無駄な事業で市の財政から、支援企業に金を配分する。
中原・駒ヶ根市長は村井・長野県知事と同じ穴の狢(むじな)です。


ワークショップのメンバーによって、市民の良識が発揮されることを期待しましょう。