・大型風力発電計画にアセス義務

ユーラスエナジー宗谷

長野県は21日開会の6月県会に、風力発電の建設計画を、環境影響評価(アセスメント)の対象に加えるため、県環境影響評価条例の改正案を提出します。

アセスの対象規模は条例施行規則で「総出力1万キロワット以上」と定め、動物や景観、騒音、水質、低周波音など18項目にわたる評価を義務付ける方針。


一方、50キロワット以上1万キロワット未満の出力を持つ「中型」計画に対しては、新たに「ガイドライン」を設けて対応するとしています。


 これまでの風力発電設備の評価は、業者による独自の環境影響評価と、山岳会や鳥類保護団体による反対運動のためのあら探しに二分されていました。

建設したい側と、建設を阻止したい側のせめぎ合いは繰り広げられるものの、地球温暖化対策と地域の環境保全のバランス感覚を伴った判断材料は示されてきませんでした。

今回、長野県がアセスを実施することで、当事者以外の県民に客観的な判断材料が提示される環境が整えられるのは良いことです。


風力発電設備に限らず新エネルギー設備は、押し並べて「必要悪」の側面を持っています。

原子力発電や火力発電に比べればかなりましだとしても、自然界に存在し得ない人工構造物の新設が与える影響は少なくありません。


しかし、交通事故で年間数千人の死亡者が発生しても自動車優先の交通社会が作られたように、多量のエネルギー消費を前提とした現代社会を維持していこうとするならば、バードストライクで何羽の渡り鳥が死ぬことになっても受け入れなければなりません。

エネルギー確保のために、人間以外の生物に深刻な影響を与えるのは人間のエゴだと思いますが、地球の資源を人間だけが大量に消費していること自体がエゴであります。

エネルギー多消費社会を享受しながら、山岳環境だけを論じる反対派の行為そのものがエゴに根ざしていると言えなくもありません。


安倍総理が2050年までに温室効果ガスの排出を半減すると言い始めましたが、2050年には地球温暖化で全生物種の4分の1が絶滅との国際調査報告が出されています。

さらに、各種金属資源の将来消費予測を実施したところ、 消費量が2050年までに現有埋蔵量の数倍を超えてしまう金属が多数あることが指摘されています。


地球環境は、人間のエゴによって危機的な状況にあることを前提として風力発電の問題も考える必要を感じます。