・結果責任をとらない無責任の蔓延

毎日新聞より時事通信より

引退して当然だろう

大相撲の横綱朝青龍がけがを理由に3日からの夏巡業不参加を申し出ながらモンゴルでサッカーをした問題で、日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で理事会を開き、朝青龍を9月の秋場所と11月の九州場所の出場停止、減俸4カ月(30%)、九州場所千秋楽(11月25日)までの謹慎処分とした。

横綱相撲協会の罰則規定を適用されたのは初めて。


大相撲の看板である横綱に前例のない厳罰を科した理由を、同協会の北の湖理事長(元横綱)は「ファンあっての大相撲だということを重視した」と説明した。 

しかし、先々代の前田山が問題行動の責任をとって引退した処分に比べれば、ずいぶんと生ぬるいとの指摘があっても良いはずです。

裸の王様でも総理大臣でいたい

一方、参院選で安倍首相は、7月1日に行われた民間シンクタンク主催の小沢一郎民主党代表との党首討論会で、今回の参院選の位置付けに関し「私と小沢氏のどちらが首相にふさわしいかについて国民の考えを聞く」と述べ、首相自らが政権選択だとの思いを強調していた。

結果、産経新聞社とFNNの合同世論調査では、この参院選政権選択選挙と受け止める回答が6割に達した。


にもかかわらず、安倍首相は参院選の結果が確定する前に早々と続投を決めてしまった。

「責任は首相である自分にあるが、政権を維持し改革をすすめることで責任を果たしたい」との理屈はもっともに聞こえるが、選択を有権者に迫った経緯から考えて矛盾だらけであることは明らかです。


最近の日本における企業などの不祥事をみても、トップが結果責任を負うことなく、居座る事例が少なくありません。

記憶に新しいところでは、コムスン問題と日雇い労働者のピンハネで非人道的な経営が発覚したグッドウィル折口雅博会長が、批判をものともせずに居座り続けてしまいました。


居座り続けて問題解決に尽力するのも一つの禊(みそぎ)かもしれませんが、問題を招いた当事者よりも優れた人材を後任にした方が、よっぽどすばやい解決がはかれるのは当然のことです。

トップに君臨した人物が重大な問題を起こしても結果責任を辞任や引退といった形で示さなくなった今の日本は、諸外国から無責任体質が蔓延していると見られていると、海外の事情に詳しい識者のコメントがTVで紹介されていました。


江戸時代には、結果責任を問われた武士は「切腹」という究極の責任の取り方を示していましたが、善悪は別にしてこの潔さが日本の美学だったはずです。

悪事を働いても居座り続けることが自民党の政治家の美学であり続けたことで、日本の国技までもが潔さを葬り去ってしまったのかもしれませんね。

「日本変わるには自民崩壊が条件」 参院選、独紙が論評

 29日の参院選で惨敗した自民党について30日付の独紙「南ドイツ新聞」は日本が変わるには自民党が崩壊することが条件と論評した。

 惨敗の背景について同紙は「安倍晋三首相は学校での愛国心教育を強化し、憲法を改正し、北朝鮮に強い姿勢を示そうとしたが、これらのテーマは日本の有権者にはあまり響かなかった」と分析。

 首相の続投については「首相の去就は大きな問題ではない。他の民主主義国と同様、時に応じた政権交代が行われて初めて日本は本当に変わることができる」とした上で「これは自民党が崩壊することで可能となる。今回の平手打ちでは十分ではない」としている。

 独大衆紙「ビルト」は「敗者」として1面に首相の顔写真を載せ「首相としての責務を果たすとしているが、退陣の気配が漂う」としている。

2007年7月31日(東京新聞

自民総務会で首相退陣論が噴出「政権選択迫ってしまった」

 自民党は31日午前、党本部で総務会を開き、参院選の結果について協議し、出席者からは続投を決めた安倍首相の退陣を促す意見も出た。

 この中で、石破茂・元防衛長官が「首相は『私か(民主党代表の)小沢さんかの選択だ』と訴えた。これを私どもはどう説明するのか。挙党一致はこの答えにならない。次の選挙で振り子現象を期待するのは難しい」と述べた。野田毅・元自治相も、「首相自ら政権選択を迫ってしまったので、道は一つしかない。決断されたほうがよろしいのではないか」と語った。

 深谷隆司・元通産相は、「赤城農相は辞めるべきだ。年金記録漏れ問題や『政治とカネ』の問題では、泥縄式の対応が多すぎた」と述べ、政府や党執行部の対応を厳しく批判した。

7月31日読売新聞