・助産所からのSOS

(社)日本助産師会東京都支部HPより長野県南部の上伊那地域では、公立の病院が里帰り出産を排除することが決まっています。

同地域からお嫁に行った人は、実家で安心して子供を産むことが許されていないのです。

苦肉の策として、出産前後だけ住所変更をして「地元住民」となってしまえば受入を拒まないと関係者は言いますが、年間で300人の出産難民が確実視されている現状では、転入届の拒否が役所の窓口で行われる日も近いと思われます。


そんな「迷える子羊」たちの希望の星となっているのが『助産院(助産所)』ですが、受け入れられるのは正常分娩に限られることは当然として、担い手が限られていて手一杯になることも予想されます。

新たに開業を目指す助産婦(助産師)もいるようですが、地域の産科医の協力が得られずに苦労している例が少なくないようです。


今年4月の医療法改正で、助産所は緊急時の搬送先の医院と連携を義務付けられたのが一因となっています。

また、助産所のうち、入院出産の設備がある場合は緊急時の処置に備えて嘱託医との連携が義務付けられています。

医師のお墨付きをもらわないと助産所が成り立たない仕組みが作り上げてしまいました。


助産所の利用者を安心させることが本来の目的だったはずが、産科医不足の現状を考えずに法が作られてしまったために、本末転倒の結果を招いています。

嘱託医と連携病院の二つを確保できない助産所は閉院の危機を迎えています。

実際の調査でも34%の助産所が連携病院が決まらないままに、残り半年となった猶予期間に苦しめられているという。


地域の出産難民の重要な受け入れ先として期待されている助産所を守るために、行政が主体となって地域内の開業医に嘱託医となることを義務付け、有床の産科を持つ総合病院に率先して連携病院となるように指導することが求められます。

上伊那では、伊那中央病院が連携病院としての役目を担うのは当然として、嘱託医になることに消極的な開業医が多いと言われています。

上伊那広域連合は、地域住民の福祉に危機感を持って、助産所の嘱託医確保に積極的に動くべきです。