・産科医に賠償請求で悪循環

町立辰野総合病院町立辰野総合病院で04年8月に生まれた上伊那群内の女児(3)に重い障害が残ったのは、産科医が注意義務と説明義務を怠ったためだとして、女児と両親が辰野町を相手取り、約1億6千万円の損害賠償を求める訴訟を4日までに地裁伊那支部に起こしました。

 訴状によると、女児は両親の第2子。分娩を担当した産科医2人は当時、ほかの妊婦の帝王切開を進めていた。母親が分娩台で破水した後、帝王切開にすると医師は決めたが、準備が整っていなかったために吸引分娩に変更。女児は仮死状態で生まれ、脳性まひにより機能障害が残った。


 原告側は、医師が一度は帝王切開と決めながら準備を怠ったと主張。さらに、第1子を帝王切開で出産したことを知りながら、第2子以降を経腟分娩する場合の危険性についての説明を怠った、としている。

 訴えに対し、同病院の松崎院長は「重い障害が残ったことに同情します。やれることをしたうえでの不可抗力と考えている。事後も求めに応じ、状況を4回説明した」と話している。(朝日新聞、長野、2008年2月5日)


また、別の報道では、

原告側は破水後ナースコールを押したが約30分間、産科医が来ず、緊急時のための帝王切開の準備を怠ったなどと指摘。また第1子を帝王切開で出産した母親に対して、自然分娩による危険性の説明を怠ったとも主張している。
医療過誤があったかどうかは司法の判断に任せるとして、このような訴訟リスクがあるから産科医が不足しているのも現実の側面としてあります。

今回の件で釈然としないのは、自然分娩による危険性の説明を怠ったとも主張している点。

この程度は出産に臨むものとして当然知っておくべき基礎知識だと思います。

何でも医者の責任にしてしまう患者が増え続けると、医者不足がさらに深刻になることも懸念されます。


出産はすべてが医療行為とならなくても良いのだから、産む側が体つくりと基礎知識を身につける必要があるのだと再認識することが求められます。

さらに、増大する訴訟リスクを軽減するためには、医療過誤保険の整備が望まれます。


自動車に安心して乗れるのは、自動車保険のおかげです。

もし保険がなければ、事故のリスクを考えると自動車には安易に乗れなくなってしまいます。

医者にも自動車並みの安心を与えるためには、犯罪となる場合を除いて、事故の場合はリスクを肩代わりする保険制度が自動車保険並みに使いやすくなることが望まれます。