・勝ちきれなかった宮下自民党

当 31,373 牧野光朗47 無現<2>

   12,787 原  久 54 無新

飯田市長選挙の結果です。

現職が新人候補の二倍以上の得票を得た、圧勝だったと報道されました。


「無投票再選を阻止する」とした新人の突然の立候補が「税金の無駄遣い」と批判を受けるなど、無名に近い原候補にはほとんど追い風はありませんでした。

現職の市長にも目立った失政がなく、選挙の争点が有権に理解されなかったと思います。

こうした状況なので、現職の勝ちは当初からゆるぎないものだったはず。


そこで、選挙戦の課題として現職に突きつけられたものは『勝ち方』でした。

選挙結果を信任投票としてみると、投票者の70%には信任されていますが、有権者全体とするとの37%の支持しか得られていません。


選挙期間中に、異例とも言える投票意向調査の結果が発表されました。

南信州新聞という保守系御用新聞が、具体的な数字を明らかにして現職候補の優位性を誇示したものです。


余談ですが、選挙期間中に有権者の投票先をアンケート調査するのはどこでもやられていますが、報道では大まかな傾向を示すにとどめて有権者に予断を与えないように配慮するのが、良識あるマスコミの対応です。

この南信州新聞は、報道機関としての良識を捨て去ってでも現職市長に取り入ろうとしている。

田舎だからこそ黙認ですまされていますが、市民の政治意識が高い地域にこんな新聞があったら、大問題となるのは必定ですね。


さて、非常識な南信州新聞のおかげで有権者がどの候補に投票する気でいるのかがつかめました。

調査に答えた54%が現職市長に「投票する」と答えています。

一方の新人候補には16%が投票するとなっている。


ここで注目すべきは、どちらを支持するかではなく、投票所に出かけて投票することが前提であることです。

新人の原候補の得票は全有権者の15%ですから、事前の調査で投票する(16%)といったほとんどが実際に票を投じています。

しかし、現職の牧野市長には、「投票する」といったはずの3割以上が実際には投票していない。


すなわち、特段に争点のない選挙では現職市長を支持しない人がきわめて少数派であって、候補の政策を理解せずに妄信した人がかなりいたのではないでしょうか。

アンケートでは現職市長に投票するといったものの、投票所に出かける労力を伴うほどの支持ではないということだと思います。

今回の選挙を勝利に導いた票の多くは、「落選させるほどのことが見つからないから、とりあえず続けさせてやろう」程度の消極的なものだったようです。


すると、牧野市政を本当に支持した層はかなり少ないと見たほうがよさそうです。

主要マスコミに『泡沫候補』扱いを示唆されたほどの対立候補に奪われた全有権者の15%の支持を、大きく引き離すほどの圧倒的な勝利ではないと思っています。

磐石のはずの組織選挙で圧倒的な勝利を収められなかったトラウマが今後の飯田市政にどのように影響するのか。


自民党宮下一郎に操られる飯田市長を選択した飯田市民は、『操り人形に操られる』ちっぽけな存在になることを認識していないと思います。

一方、原候補の突然の立候補で、影の自民党支配に楔が打ち込まれた宮下自民党一派にとっては、負けに等しい選挙だったのではないではないでしょうか。

来月に予想されている国政選挙の行方に大きな影響力を及ぼす市長選挙だったと思います。