・西松裏金で浅川内水対策は後回し

会見中にうつむきながら記者の質問を聞く村井仁知事=中日新聞より=西松の裏金事件は、民主党の小沢代表ばかりが騒がれていますが、本命は村井・長野県知事でした。

村井知事は身辺に捜査が及んだことで危機管理を発動し、その結果、腹心の右近氏が命を落とすことになってしまった。

右近氏は自身の死と引き換えに村井仁を検察の手から逃れさせた非業の死といえます。


こうして西松建設と村井知事の間で取り交わされた裏金の成果が浅川ダムです。

百年に一度の豪雨でも災害が疑問視される中、苦しい県の財政を省みずにダム建設はばく進しています。

そして、今朝の報道では、ダム建設の重要な課題だった下流域の内水被害をなおざりにしたままで、ダムだけを作る無意味な計画へと変貌したことが明らかになりました。


浅川流域において豪雨の際にもっとも危険視されているのが、千曲川との合流域で発生する内水氾濫です。

浅川本流の氾濫はダム利権が作り上げた架空のストーリーであって、災害として対策を求められているのは、千曲川が増水によって浅川の水位を越えてしまうことにより、千曲川から浅川へ逆流してしまうことをいかにして防ぐかにあります。

計画では、浅川排水機場に設置されたポンプを増強して対応するはずでした。


ところが、県が10日に発表したところによると、ポンプの増強はダムが完成してからになるというのです。

浅川本流の氾濫と下流域の内水災害が起こる確率を比べれば、はるかに後者の確率が上回るにもかかわらず。

内水氾濫は昭和58年9月の台風10号で実際に発生し、広範囲が水没して多大な被害をもたらしています。


流域の遊水地設置と排水ポンプの増強は、必要不可欠な対策です。

西松建設の受注が見込まれる穴あきダムは、必要性に専門家ですら疑問をいだくほどの不要不急の代物です。

必要性にこれほどの違いがあるにもかかわらず、着手時期が入れ替わってしまうのはなぜでしょうか。


その答えが西松建設から村井知事に渡された数千万円の裏金だということは、誰が見ても分かります。

村井知事が県知事選挙に立候補する際に、自己資金はいらないからと自民党県議のドンが請け負ったようですが、その裏づけは西松の資金提供にあったんだそうです。

これほど西松の裏金が社会を騒がしていても、裏金を隠蔽するために側近が死んでも、村井知事はダム建設が最重要課題であることにブレがありません。


必要な対策を後回しにしてでも、県の財政が危機的状況になっても、村井知事にとって選挙の資金提供への恩義は何物にも代えがたい。

村井知事が誰のために知事になったのか?

長野県民のためでないことは、一連の動きが証明してくれています。


これを見過ごすとすれば、長野県議会もグルだということになる。

自民党の手先に成り下がるのか、長野県民主党

長野県には、村井にだまされたバカな県民もたくさんいますが、だまされなかった賢明な県民も少なくない。

民主党自民党も同じ穴の狢と烙印を押されてしまえば、社民党共産党に票が流れて自民党が漁夫の利を得てしまうことも考えられる。

浅川ダムで無秩序に振舞う村井知事を糾弾できないようでは、長野県民の支持は得られませんよ。

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