・握り飯と漬物で選挙が戦えるか

新聞各社の世論調査によると、民主党の大躍進が確実視されている。

世論調査で選挙が決まるんだったら、投票がいらなくなるわけで、世論調査の落とし穴がそこにある。

勝てると思い込んだ陣営には油断が生まれ、勝てないかもしれないと思った側には死に物狂いの覚悟が生まれる。

これが分かれ道になるのが勝負だ。


選挙も残るところ一週間となって、体力がかなり消耗しているころだと思う。

選挙の体力とは、支援者の協力や資金を指すことが多いが、選挙スタッフの体力も落ちてくるころだと思う。


そこで配慮が求められるのが選挙スタッフの食事だ。

炊き出しで「おにぎりと漬物」があれば十分とする、時代錯誤を押し付けられたのではたまらない。

選挙スタッフを「使用人」と勘違いしている候補者の身内がでかい顔をしている陣営はなおのことだ。


最近接した選挙では、選挙スタッフの健康を気遣って栄養バランスに配慮した食事を提供するところが多かった。

豪華さを競う必要はなく、朝から晩まで選挙活動に忙殺されるスタッフに対して「心づくし」の表れとして、戦い抜くに十分な栄養を取ってもらおうとする候補者サイドの心づかいがあった。

選挙運動員に対する無償の食事の提供は選挙違反となるから、実費を徴収する形態をとっているところもあった。


さて、今回の選挙で各陣営は、選挙スタッフにどんな配慮をしているだろうか。

前述したおにぎりと漬物の質素倹約型の陣営は論外として、飲食店も有権者と見る戦術を取っている陣営があるらしい。

人から聞いた話だが、社民党選挙カーが、それなりの食堂に横付けして真夏の選挙を勝ち抜くためにしっかりとした食事をとっていると聞いた。


社民党は今回の選挙で小選挙区議席を得ることは不可能であるにもかかわらず、選挙スタッフに手厚い配慮を見せているのはなぜか。

その理由の一つは、選挙が今回で終わるわけではないからだ。

最長でも4年後には再び衆院選挙がある。

その前には参院選や地方選挙が入り込んでくる。

質素倹約で選挙スタッフを使用人として使いつぶす陣営は、先のことを考えていないに違いない。


こういう陣営は、追い風があればなんとかなるかもしれないが、自力では到底選挙を勝ち抜けない。

ボランティアがどんどん集まってきて、「何か手伝わせて下さい」とうれしい悲鳴が上がることはまずないと見ていい。

身内と友達で支えてもらうのが関の山だろう。


しかし、身内と友達だけでは選挙にならない。

選挙を戦い抜くには、後援会をはじめとした支援者の力を最大限に引き出すしかない。

そのためには、力を発揮していもらえる環境を提供し、気持も体力も選挙期間を乗り越えられるように細心の配慮が不可欠だ。


選挙事務を含めた選挙スタッフへの食事の提供は公職選挙法で一食あたり1000円を上限として規定されている。

それすら出し惜しみして士気を低下させてしまう陣営は、自ら足を引っ張っているだけだと思う。

食い物がすべてではないが、気配りが最も現れやすいのが食事でもあるから、人が動いてなんぼの選挙なんだがな〜。

まあ民主党の陣営なら、今回に限っていえば猛烈な追い風で当選できるかもしれないが・・・。