・長野県民主党の無駄なダムの扱い

前原国交相八ッ場ダムの建設中止を明言した。

民主党が「無駄な公共事業」として最も問題視している事業だからだ。

八ッ場ダムは地盤が弱く、JRの線路や国道の移設も必要で、事業費は膨れあがった。

昨年完成した岐阜県徳山ダムの6分の1の大きさなのに、事業費は1.4倍の4600億円。地元対策に1300億円の別予算も組まれている。


すでに約3千億円を投じた事業だ。

中止へのハードルは非常に高い。

しかし、今止めなければ、さらに事業費が膨らんで膨大な無駄が生じてしまう。


動き始めた事業は止まらないというのが、自民党政治の常識だった。

民主党政治では、動きながら動き続けたほうがよいか、立ち止まったほうがよいのか常に考えることが望まれる。

前例踏襲ありき、事業の継続が前提となっていれば悩むことはない、追加予算がどれだけ必要になろうと終わらせることを目的していればよい。

事業の必要性を絶えず考慮に入れるのは、必要なことだが高度な知恵と大変な労力を伴う。

自民党時代の大臣は、知恵もないし労力を惜しんだから、税金の無駄遣いを選択してきた。


国民も自民党の前例主義に染まってしまって、「ここまでやったんだからやり続けた方がいいのでは」と安易な考えが横行している。

国の事業や県の事業は、どこからか来る予算というお金で支払われるから、自分の懐が痛むわけではないと勘違いしてしまう。

無駄な公共事業が、自分の生活の犠牲の上に成り立っていることに、まだ気が付いていない人がたくさんいるようだ。


長野県にも無駄なダムが作られようとしている。

ダムの機能が必要なのではなくて、ダムの建設が目的だから議論はかみ合わない。

八ッ場ダムと違って、党本部が本気になって取り組んでいないので、なし崩しで着工される危険性が高い。


八ッ場ダムも、関係自治体である埼玉の民主党県議は半数以上が建設推進の立場だという。

長野の浅川ダムも民主党長野県連は推進の立場だ。

ダム建設に執念を燃やす村井知事は、連合と自民党の支援で当選した。

長野県の民主党や連合の、捩じれどころではない摩訶不思議ななれ合い主義は、有権者の理解を超越している。


民主党長野県連のトップである北沢参議院議員は防衛相として入閣した。

党本部との食い違いがあっても、わが道を行っていた「わがまま県連」ではいられなくなる。

内閣の一員として、党本部の「無駄なダムは造らない」方針との整合性が求められる。