・マニフェスト 民主抽象、自民総花

新しい日本をつくる国民会議21世紀臨調)が20日開いた「政権実績・参院選公約検証大会」では、参加各団体が参院選を前に民主、自民両党が発表したマニフェスト政権公約)の検証結果を発表した。民主党に対しては、経済戦略や財政再建への姿勢が出てきたことへの前向きな評価が多く出たものの、昨年の衆院選マニフェストよりも抽象的になり、政策変更の理由が示されていないとの不満も相次いだ。

各団体は今回、参院選直前の首相交代によって、民主党マニフェストが経済財政政策で大きく方針転換していることに注目。消費税を含む税制抜本改革を示したことには肯定的な意見が多く寄せられた。

ただ、「増税と歳出が膨張し、財政健全化が達成できない懸念は払拭(ふつしよく)されていない」(日本総合研究所)との声もあった。

さらに衆院選マニフェストと比べて「何を継承、修正、追加、断念したかがわからない」(経済同友会)との指摘も続出した。しかも、参院選マニフェストには工程表がなく、「検証不可能なスローガン的な公約に戻りつつある」(言論NPO)と、衆院選よりも内容が後退したとの批判も出た。

これに対し、民主党の最大支持団体である連合は、「バラマキ批判」について「政権を担って初めて知りうる情報もある。マニフェストを変更することが国民の利益にかなう場合もある」と擁護し、満額支給を断念した子ども手当についても「柔軟性を持たせた。妥当な見直しだ」と評価した。

自民党への評価では、消費税率を「当面10%」としたことを評価する意見が多かった。一方で野党に転落したことへの総括がないことや、総花的になって優先順位がわからないとの声が出た。

自民党は再生した、信用できると感じさせる政策メニューは乏しい」(PHP総合研究所)、「政権を奪取するとの気迫が伝わらない」(言論NPO)という厳しい意見もあがった。

チーム・ポリシーウォッチは「非常に大きな政府」の民主党と「大きな政府」の自民党の争いだとして、両党の財政政策を批判した。「時間的制約」を理由にマニフェストを評価しなかった日本青年会議所は、税制抜本改革を超党派で議論することへの期待が高まっているとする会員アンケート結果を紹介した。

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二大政党への厳しい有権者の視線が識者からも裏付けられたということで。