・水ビジネスの遅れが招く内水災害

洪水時の浸水予想区域や住民の避難場所を地図上に示す洪水ハザードマップに、「内水氾濫(はんらん)」の影響を反映させている自治体が、全自治体の7%にあたる121自治体にとどまっていることが、国土交通省の調査で分かった。

 ゲリラ豪雨の増加で、浸水被害の半数以上は内水氾濫が占めるようになったが、マップで「危険区域外」とされているため、被害を一層深刻にするケースも出ている。

 国交省によると、2006年までの10年間の浸水のうち、内水氾濫による被害は全浸水面積の65%にあたる約20万ヘクタール、全被害額の56%にあたる2・4兆円に上った。住宅の半地下部分や地下通路、地下鉄などに浸水する事例も増えている。  =読売新聞 2010年8月14日=

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長野市の浅川ダムもそうだが、本当に必要な災害対策を放置して見せかけだけの手抜き行政が日本全国にまん延していることがわかる。

縦割り行政の弊害でもある。

ハザードマップ作成を義務付けた水防法は国交省の河川局の所管。

だが、下水道からの内水氾濫については都市・地域整備局が担当するため、意見が反映されなかった。

河川局の担当者も「私たちは川のことしか分からない。一言で言えば、縦割り行政のせい」と打ち明ける。


自然の天候と人の営みで動く水の生態を全く把握していないのが実情だろう。

日本の水行政は、世界レベルからみると遅れている。

水メジャーと呼ばれる巨大資本が世界中の水ビジネスを席巻しつつあるというのに、日本は上下水は行政がやるものと決めつけているから世界基準に及ばない。


水の流れを上流から下流まで、循環システムはもちろん加味して、日本の水への考え方を改めなければならないと思う。