・国会の全力を傾注して震災対応しているか

日本列島は19日、高気圧に覆われて各地で平年より気温が高くなり、東日本大震災被災地の岩手、宮城、福島3県では、最高気温が平年より4〜9度程度高くなる地点が相次いだ。
福島市では午後2時57分に30・3度に達し、今年初の真夏日に。
福島市は海から離れた盆地にあり気温が高くなることで知られ、この日の最高気温は平年より7・7度高く、7月下旬並みとなった。

福島第一原発の事故処理現場では熱中症による作業環境の悪化が問題となる。
すでに、心臓疾患で作業員が亡くなるなど劣悪な作業環境による健康障害が懸念されている。
そこに熱中症の危険性が加わるのだから作業工程に大きな影響を与えることは避けられない。

東電の工程表が作業員の健康管理を無視して作られたものだということは明白だが、これを容認した政府にも重大な責任がある。
原発事故への対応は本来なら国を挙げて総力体制で臨まなければならないのに、初動を含めて現在でも一企業に任せきりだ。
東電関連業界のマンパワー不足が事故処理の遅延に直結するというのに、プラント産業の総力を結集をさせない菅政権の無策には絶望感を感じてしまう。

一方、東京電力福島第1原発事故の発生直後の3月12日未明、放射性物質原発の海側に向かうことを示す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の予測図が首相官邸に届けられていたことが19日、分かった。
政府関係者らによると、予測図は3月12日午前1時12分、経済産業省原子力安全・保安院からファクスで送信された。
第1原発1号機で格納容器の蒸気を外部に放出する「ベント」を行った場合、同3時から同6時までの間、放射性物質が全て海に向かうことを示す内容だった。

3月12日朝に首相は第1原発を視察。
SPEEDIの予測図は住民には長く公表されなかったものの、首相の視察前に放射性物質の流れを知るため利用されたのではないかとの疑念の声もある。
首相はSPEEDIを自分のために使い、住民のためには使わなかったのではないか。

疑念であるかもしれないし、真実なのかもしれない。
こうした菅総理の対応を観察していると、視野が狭いし、人脈が限られているように感じる。
情報が少ないうえに、情報の活用方法に多様性がないのではないか。

総理大臣はスーパーマンである必要はない。
最悪の決断を迫られる責任は課せられているものの、采配を一人で振るわなければならない立場ではない。
人を使うことができる人が求められている。

菅総理は退陣に拒否を貫くつもりのようだが、すなわち自分も含めて政治家を適材適所で使う才覚がないからだ。
災害現場では状況が刻々と変化する。
現地に精通する指令本部を置いて、基本的な状況判断は現地に任せるという度量を見せるリーダーが求められている。

西岡参院議長が菅総理に退陣を求めたのも、直に菅直人を知る者だからこそだろう。