畔波板が壊す多様な生態系

畔波板の設置では生態系と利便性の共存をはかった。

田んぼに畔波板(一部に瓦利用)を設置してモグラの被害を防いだ。
もちろん漏水を減らす効果も期待できる。
ところが田んぼの生き物にとって畔波板は生存を脅かす障害でもある。

たとえばケラ。
水際の畔に穴を掘って棲みかにしている。
畔波板を取りつけたところ、水面から這い上がる場所を求めて必死にもがいていた。
これを見て剥き出しの畔波板は生態系を壊すと悟った。

そこで、畔波板を土で埋め込む方法を考えた。
土の中で畔波板が連続しているからモグラが田んぼに入り込むことはできないし、漏水効果にも影響がない。
プラスチック製の畔波板を紫外線から守り、脆い瓦の保護にも役立つ。
多様な生態系が米の味を向上させるかどうかは分からないが、美味しいと思わせる要素が増えていることは確かだ。

周囲には田んぼがたくさんあるが生態系に配慮しているものは皆無。
米を作り始めた11年前から無農薬無化学肥料だが、地域にひとつくらい生き物が安心して暮らせる田んぼがあってもいいだろう。
売るための米ではないので手間を惜しむ必要はないのだから。