・障害者と作業所

身体などに障害を持つ人が働く場として福祉作業所がある。
理念は、

心身障害者、老人等に就労又は技能習得の機会を提供し、社会生活への適応性を高めるための各種相談や作業訓練等を通所の方法により行う施設です。

しかし、実態は障害者向けのデイサービスセンターでしかないところが多い。
小遣い程度の「給料」を支払って指導員に従わされている。
規模にもよるのだろうが、年間に数百万円の補助金が投じられている。
そのほとんどは所長や指導員の給料に消える。
障害者福祉に名を借りた福祉関係者の雇用確保に他ならない。


利用者が十人いたとして、年間に六十万円程度のお小遣いを与えるために、
その十倍の補助金がつぎ込まれる。
補助金によって一般社会で通用する作業訓練がされているかというと、
指導員は物つくりのプロが任されているわけではないから、
一般の商品として販売されるようなものは作れない。
「障害者の作品」を前面に出して善意のお金で購入してもらわなくてはならない。
まともな作業訓練が行われている訳ではない。
障害者のためだからとポストが作られて補助金がその給料として流れていくだけの構図だ。


作業所には障害者を人として見ることが欠けている。
健常者と障害者の二項対立で決め付けるために、

障害者は福祉を受ける人、健常者は福祉を与える人

障害者とは健常者と異なった人間ではなく、
健常者といわれる人にも能力の違いがあるように体の機能の違いがあるだけだ。
これを「能力の違い」と受け止めずに「能力に差」があるとするために、
障害者を福祉の対象として差別していることになっている。


障害が軽度でも「障害者」のレッテルが貼られると、
手厚い福祉を受けられることになるから甘えて働かなくなる。
甘えさせておけば関係者は利益を享受できるから積極的に自立させない。
駒ヶ根に限らず、周辺のどの作業所を見ても内情は同じようだ。
福祉の関係者はこれが常識だと思っているが、
障害者を食い物にしている側面があることに全く気が付いていない。