・少数の意見に耳を傾けて

本日の信濃毎日新聞の特集記事に「少数の意見に耳を傾けて」として、福島大学の鈴木教授の投稿が掲載されていました。

住民主体のまちづくりで考えてほしいのは、そこに参加する多様な人たちの、そして少数意見に耳を傾けることです。
それを欠いた状況で協議すると、結果として、物事を進めた人だけが目立ってしまうことになり、そうしたリーダー待望論が浮上することになります。
少数意見を言った人が、「犠牲者」になる社会を生むことになります。


踏み込んで言えば、学校教育の現場で少数意見を尊重したり、徹底的に一人一人の意見を言い合うトレーニングを積む必要があります。
結果として、行政にお任せすることもなくなり、住民が主人公になる。

要旨の抜粋ですが、駒ヶ根市の市民参加に欠けている点を突いています。
特に、学校教育の場で少数意見の尊重がないがしろにされてはならないと思います。


では、現在の学校教育の実権を握る教育委員会に少数意見を尊重する土壌があるのでしょうか。
答えはNOです。


かつて、赤穂中学校の生徒が荒れて、大規模校を解消するための方策が検討されたことがあります。
通学区を変更して、竜東の東中学校に通えるようにしようというものでした。
結果は、子供のことを脇に追いやって、親の見栄や好き嫌いで通学区の変更に踏み込めませんでした。
さらには、赤穂中学校の大規模なことが問題の本質なのに、東中学校を赤穂側に移すなら通わせても良い、などと自分勝手な意見まで添えられました。


しかし、この自分勝手な意見が後に教育委員会の本論となり、東中学校は小規模で弊害が多いから赤穂側に移してしまえ、と、乱暴な主張を始めるようになりました。
今の教育次長が先頭を切って、「東中学校には問題がある」と住民に吹聴し始めたのです。
さらには教育長までも、「東中学校のような小規模な中学校を卒業した生徒は非行に走る可能性が高い」などと言い出す始末です。


こうやって、住民に虚偽の情報を流布して、移転を正当化する「多数意見工作」が大胆に行われました。
この結果、検討委員会が形骸化し、教育委員会の思惑通りに東中学校を移転することが答申されたのです。
ところが、合併破綻という神風が吹いて移転新築は事実上白紙に戻ったことは記憶に新しいと思います。


今の教育関係の行政は、少数意見を尊重する風土を育てるどころか、多数派工作を自ら行って都合の良い環境を作り上げることに一生懸命です。
やるべきことに、まったく逆行しています。