・昭和伊南病院が最高基準?

昭和伊南総合病院が医療機能評価で最高基準の認定を受けたと、新聞報道にありました。
「最高基準」に違和感を感じたので調べてみました。


信毎、長野日報、伊那毎を見ましたが、最高基準と表現したのは信濃毎日新聞だけ。

と、表現には微妙な違いがあるが、信濃毎日新聞は、”よいしょ” した記事を書いているようです。


評価をした財団法人日本医療機能評価機構のことは、同機構のサイトに詳しく書かれていますので、関心のある方はどうぞ。
・財団法人日本医療機能評価機構へのリンク


ざっと目を通したところ、新しい基準を設定したが、特に厳しい基準になったわけではないようです。
一般的に、この種の認定機関は、審査料金で儲けているので、何回も審査を受けてもらわないと儲からない仕組みです。
だから、定期的に認定基準を手直しして「新しい基準ができたのでいかがですか?」とやるわけです。


認定を受ける病院の方も、「最新基準に適合している」の称号がほしいので乗るわけです。
今回は信濃毎日新聞が、この流れに乗って昭和伊南総合病院の株を上げて、結果として中原市長のご機嫌を取ったことになりました。


過去に認定を受けていたver3.1の評価結果が公開されています。
・昭和伊南総合病院の評価結果(認定日2001-01-22)

注目すべきは、「3. 診療の質の確保」

患者100人当たりの医師数は、医療法定員数に充たず、全国自治体病院群、他病院群に比較すると低い
 医業収人面における医師1人当たりの稼働額も他病院群に比較して高く、一方、医師の有給休暇取得率は他職種に比較して極めて低い。医師定員は医療水準の向上・維持、医療の質の改善の原動力であり、同時に経営収支基盤の確立の上で不可欠であるので定員確保に努力し、医療水準のさらなる向上、医療収入の増による経営改善に努力されたい。


医療の質に関しては、評価が高いどころか改善への努力を指摘されている。
このことは、長野県が救命救急センターの設置を取り消す判断をしたことを裏付けています。
また、評価の認定の基準もかなり甘いようです。

各評価項目の評点(中項目の評価)が、すべて3以上であれば、特段の理由がない限り認定証は発行されます。2または1の評点がある場合には、改善を必要とする問題の緊急性や患者・住民への影響の程度等について、最終的に評価委員会で審議され認定証の発行または留保が決まりますので、必ずしも2があるから認定証が発行されないということではありません。


最新の評価はまだ未公開なので、現状でこの点がどの程度改善されたのかは不明です。
ただし、報道によれば「外来診察室のプライバシー確保」など、二項目の改善が指摘されたため、認定は来年二月までの暫定処置。
改善しないと認定が取り消される、オマケでもらったような評価ですよ。


条件付の暫定認定なのに、なんで最高基準認定なんですか、信濃毎日新聞さん。
少なくとも、信濃毎日新聞の「病院機能評価で最高基準」というのは、褒めすぎの記事だといえますね。