・ダムでは機能しない治水


諏訪湖では、流入水量が放出量を上回って、湖面が急上昇しました。
83年災害のあと、湖畔は護岸工事でかさ上げされたが、逆に水位が高くなり、流入河川に諏訪湖から逆流するようになり、今回も一部の地区が逆流で水につかってしまいました。


諏訪湖は、かつて湖面の面積が今よりもかなり広かったようです。
埋め立てなどで湖面が狭くなったことで、諏訪湖の貯水量が減少していることが、水位上昇を招いた一因でもあります。


過去の災害を教訓に、放出量を増加して、天竜川に放出する釜口水門は、下流域への災害の影響を考えて最大放出量が1秒当たり400トンに設定されている。
しかし、今回、箕輪町で発生した堤防決壊は、最大放出したことによる増水が原因の一つとして考えられています。
このことは、単にダムで洪水を堰き止めれば災害が防げる訳ではない、治水の難しさを示しています。
・信濃毎日新聞へのリンク 『釜口水門の放流量は過去最大に』


ダムで川を堰き止めるよりも、その手前の森で蓄えて、一気に増水させない自然を生かした治水の必要性がさらに高まるのではないかと思います。


裏山の崩落は、コンクリート擁壁に頼るだけでは防げない。
山の木の根を丈夫に育て、保水力と地盤保持力を高めることが大切です。
岡谷の災害でも、鉄砲水を巨大な堰堤(えんてい)で阻止する治水と、上流の森の保水力を高め、適所に小型堰堤を設置する治水のどちらが有効だったか。


前者を支持する村井候補と、後者が脱ダムの理念とする田中候補。
土木業界が歓迎する公共事業と、水源涵養・地球温暖化防止にも寄与する公共事業。


両候補の対立軸がはっきりしているだけに、有権者の欲と良識のバランスが問われる課題であります。