・シュレッダーより危険が一杯

シュレッダーに巻き込まれて指を失った児童は、大変な目にあってかわいそうだと思います。
それと同じくらい、悪者にされているシュレッダーも、ちょっとだけですがかわいそう。


誰に一番の責任があるかといえば、子どもの安全に配慮できなかった企業_じゃないですよね。
親ですよ、親!
機械を責める前に、危険な機械を子どもに触らせる環境を作ってしまったことを反省するべきだと思います。
だって、どんなに危険な機械でも子どもが触れなければ事故は起きないんですから。


家庭の中には、子どもが近づけるところに殺傷能力のある道具や機械はゴロゴロしているはず。
台所に行けば、包丁、ナイフ、フォーク、串、箸、アイスピック、・・・。
鋭利な刃物が数知れず。
包丁で手を切ったからといって、包丁メーカーが謝罪したりしますか?
危険性を認識できない(予想できない)親が増えているのではないかと思います。


もちろん、機械の安全性能の向上はメーカーに義務付けられるべきですが、的確な扱いが前提となります。
幼児が触れても安全というのは、ちょっと行きすぎではないかと思います。
ことに、業務用の機械は処理能力を求められますから、必要にして十分な安全性を確保する合理性が求められます。


我が家を例に取るのは、適当ではないかもしれませんが、
仕事場と家庭が一体化しているので、危険性は一般家庭の比ではありません。
業務用の機械類は、指どころか腕でもスパッと切断できるし、体を押しつぶすほどの威力を持った重機もあります。
チェーンソーや草刈機の刃は、剥き出しで柱に掛けてあるだけだし、手道具の刃物も触れただけで血を見るほど切れます。
これらは容易に子どもが触れられる所にあるし、操作もできる。(遊び感覚で教えているので)


家庭内には、ガードのない薪ストーブに常時熱湯が入った鉄瓶がのっているし、
お勝手口の土間には風呂の薪釜があって、ちょっと触れただけでもジュッと音がしてやけどします。
でも、子どもたちは五体満足で生きています。(育ってますのほうがいい表現ですね。)


危険を取り除いてもキリがないので、危険を覚えられるものは体験させて忘れないようにします。
刃物は触れば血が出るし、釜やストーブは触れば水ぶくれができる。
軽傷の経験が重傷を防ぐ本能をはぐくみます。
体が危険を覚えているので、危険なものと安全なものを見分ける能力が雪ダルマ式に身についていく。


もちろん、幼児の能力では避けられない危険は、行動範囲から遠ざけます。
近づいてはいけない危険箇所は、しつこく躾けることは当然です。
偶発的な事故は防ぎようがないので、事故が起きても軽く済ませられるように身のこなしを磨かせる。
危険な機械は使い方を覚えさせて、無知な状態で操作させないようにする。
子どもの安全のためには、全神経を研ぎ澄ませて生活環境を整える。
親の当然の責務です。


どこの家庭でも程度の差こそあれ、同じようなことをやっていると思います。
しかし、程度の差が、危険を察知する能力の差になって表れ、
察知できなかった危険が不幸にも牙をむいたのが今回の事故だと思います。


なぜ、シュレッダーが家庭に増加したのかは、今回の事故とは直接関係ないと思います。
最も深く関係するのは、親の生きる力です。
これが低下するのに伴って、子を守る力まで衰えて来ているのではないでしょか。