・オール電化住宅は地球を温暖化

地球温暖化防止に大きく貢献する太陽光発電オール電化住宅」
こんな見出しをよく見かけます。
電力会社や住宅メーカーは、こぞってオール電化住宅に力を注いでいます。


もし、これが真っ赤な嘘だとしたら大変なことです。
そんな大変なことをしてしまったのが、『特定非営利活動法人 気候ネットワーク』
本当に地球温暖化を防止する効果があるのか、検証したレポートが発表されています。


現在のオール電化住宅に警鐘を鳴らすのが↓
「オール電化住宅は地球温暖化防止に寄与するのか?」

省エネを徹底することなく、また、今日のエネルギー供給のあり方を環境配慮型に変えていくこともなく、現状のエネルギー供給システムのままにオール電化住宅を採用することは、家庭の総電力需要を増やし、電力会社からのクリーンでない電気の供給とその設備投資を促進し、今後進めていくべき省エネルギー社会の構築と自然エネルギーの導入を妨げてしまうことになるだろう。


オール電化住宅が省エネルギー社会の構築と自然エネルギーの導入を妨げる_と結論付けられている。
詳しくは、レポートを見ていただくとして、概要をかいつまんで説明したい。

IHクッキングヒーター

  • 火力と使用できる鍋の制約による熱効率の低下

ガスコンロとの比較は、お湯を沸かす機能だけに限定さていて、調理の実態を反映していない。
鍋底だけを加熱するIHと比較して、ガスコンロは強い炎で鍋全体を加熱する。
炒め物などにおいては圧倒的にガスコンロに分がある。

ヒートポンプ給湯器

  • 深夜電力の利用による経済的メリットによる落とし穴

深夜に加熱することにより、使用時までの時間差で放熱ロスが生じる。
冷めてしまう蓄熱ロスが電力会社や各メーカーから公表されていない。
冬季、寒冷地での効率も明らかにされていないなど、実際の利用上の効率が正しくは明らかにされていない。

オール電化住宅で電気代が安くなる

  • 深夜電力料金により電気代は削減されるが電力量の削減にはならない

時間帯を上手に利用すれば、消費電力量が同じでも電気代をカットできるメリットは、
逆に言えば、電気代のカットが消費電力の削減を意味せず、単に料金体系によるものであることから、
それは、CO2排出の削減には直結しない。

オール電化住宅のCO2排出量

一般住宅とオール電化住宅のCO2排出量を比較すると7割もの増加になる。(東京電力管内)
電力会社のオール電化住宅の説明では、コスト削減のメリットは謳われても、
CO2排出量に関する情報を目にすることはない。
オール電化住宅がCO2排出増加を促すことに電力会社は説明責任を果たしていない。

一次エネルギー換算による実態把握

  • 一次エネルギー消費量に換算するとオール電化住宅の効率の高さは失われる

家庭内では排気が少なくクリーンな住宅と言っても、発電所で大量の排気を出し、
送電におけるエネルギーロスを伴っている。
一次エネルギー消費量を考慮するとCO2排出削減では、オール電化住宅が優れているわけではない。

深夜電力が意味すること

原発で無駄になっていた深夜電力を有効利用し、電力需要平滑化のためにオール電化住宅がある。
人口密度の低い場所に建設される原発は、消費地までの長い距離を送電することによるロスが生じる、
無駄の多いエネルギー供給源である。
深夜電力を有効に利用することは、原発からの電力を惜しみなく使用し原発依存を高める。
脱原発の流れに逆行している。

総電力需要の増加

  • 日本の電力化率を高め総電力消費量を押し上げる

電力化率の高まりは、電気が投入した2/3を無駄に捨てているエネルギーであることから、
エネルギー消費の削減の観点から望ましくない。
オール電化住宅の増加によって電力需要が高まれば、より多くの電力供給施設の建設が必要になる。
エネルギー多消費型社会の継続を促す。

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エネルギー供給会社から公表されている情報を元に、客観的分析によってオール電化住宅を分析した
優れたレポートであると思います。
電力会社や住宅メーカーの隠された実態を丁寧に掘り起こした努力に敬意を表する。


オール電化住宅を予定している方は、是非目を通すことをお勧めします。
地球温暖化防止のために、オール電化住宅を選択しようとしている人なら必見です。
一般常識と思われていることが、企業からの消費者への洗脳の産物であることが分かります。