・市町村合併の夢破れる

読売新聞の調査によると、大合併後も財政難とする市町村が68%であることが判明した。
今年3月31日までに合併した自治体のうち68・6%にあたる374市町村が、
「今後も厳しい財政状況が続く」と答え、29・5%は再合併が必要と考えている。


全体でも45・2%が今後の合併は必要としており、財政不安を背景に、
自治体の再編はさらに進む可能性がある。
今春で一段落した「平成の大合併」への自治体側の受け止め方が明らかになったのは初めて。


すでに合併したり、合併が決まっていたりする自治体に、合併理由を聞いたところ、
「行財政の基盤強化のため」が86・8%でトップ。
「合併特例法の優遇措置があるうちに合併した方が有利」も47・5%に上り、
苦しい財政事情が再編を強く後押ししたことをうかがわせた。


県内に目を転じてみると「合併したかったが実現しなかった」と答えたのが43自治体と、
半数以上(54%)に上ることが分かった。
一方、「当初から考えなかった」も18自治体(23%)あった。


知事による合併協議会の設置勧告やあっせんの権限を定めた新合併特例法をめぐっては、
自治体が要望する場合だけ知事は関与すべきだ」が31自治体(39%)と最多。
「合併の枠組みを示し、あとは自治体に任せるべきだ」が30自治体(38%)と続き、
「知事は一切関与すべきでない」も10自治体(13%)あり、市町村の自主性を重視する声が強かった。


村井知事は来年4月までに県の審議会の設置を明言し、合併に前向きな半面、
「構想をつくってどことどこは合併しろというのは、地方自治の本旨にかんがみていかがなものか」と、
県主導の進め方には慎重な姿勢も示しているが、村井知事は、発言と真意が一致しない、
言い換えれば、本音と建前を使い分けるのが常なので、そのまま信じてはいけない。


また、合併が進んだ場合の都道府県のあり方について、
道州制に移行する」との見通しを示したのが56自治体(70%)に上り、
「組織や財政規模が縮小しても残る」と答えた16自治体(20%)を大きく上回った。


特定の自治体の例にとると、松本市では合併で負債が膨らんでいたことが判明した。
松本市は27日、2005年度末時点の貸借対照表(バランスシート)など普通会計の財務諸表を発表した。
旧4村を編入合併した新松本市の初年度は、負債総額が前年度比20・3%(191億円)増となる一方、
返済義務のない正味資産は14・8%(359億円)増にとどまり、合併による負債のふくらみが目立つ結果となった。


市債残高を人口割りすると、05年度は43万5000円で合併前の前年度より3万4000円拡大。
市債残高から現金と預金残高を差し引いた将来負担額も39万5000円と3万7000円増え、
対前年度比の増加幅はまつもと市民芸術館建設に伴い起債がかさんだ03年度の指標と同じ規模だった。


財務の安全性を示す負債比率(負債÷正味資産)は40・6%に悪化、1998年度以来7年ぶりに40%台に乗った。
合併による“台所事情”への影響について市は
「負債状況の悪化は事実だが、極端に悪くなったわけではない。市債発行額を償還額の範囲内に抑えながら改善したい」
との見解だが、合併が財政事情を好転をもたらすのではない一例として注目に値します。


合併によって財政基盤が強化されるとの説明は、多くの場合「絵に書いた餅」の可能性が高い。
本音は、合併特例債で公共事業特需を当て込んだ、利権がらみが少なくないだろう。
駒ヶ根市は、その典型ですから、合併に失敗した中原・駒ヶ根市長が
虎視眈々と復活させようと企んでいることも考えておかなければならない。