・大型風力発電計画の行方は

 伊那市の入笠山周辺で計画されている風力発電事業について、
「同意しない」と表明した小坂樫男市長は22日、
同市議会が同事業に賛成する陳情を採択したことに対して、
「市議会の意見を踏まえ、最終決定するのは市長の責任だと思う」と述べた。


 20日の市議会で“反対”を表明した理由について、小坂市長は
「計画が明らかになった時から災害や景観上の問題などを踏まえて決めていた。
 建設には幅広の道路が必要だ。山林伐採や土砂搬出などが災害の原因になる可能性がある」とした。

 売電目的の風力発電施設が2000メートル級の尾根に建設されるのは日本初となる。
許可すれば、県内中の尾根に風車が建設されてしまう。景観は地元だけの問題ではない。
静岡県山梨県などと進める南アルプス世界遺産登録活動にも影響を与える

と述べた。


 さらに、この風力発電計画については
「風任せな事業。強風でも止まるし、台風では倒壊する恐れもある。また山岳地だと落雷や氷結など思わぬ自然現象もあるだろう」
と慎重な姿勢を見せた。

 また、国の政策に言及し、
「現在、風力発電開発が進むのは補助金があり、売電単価も高いためだ。
 補助金がなくなり、電力売買の自由化がされた場合、高コストの電力を買うだろうか。
 売電期間を終えた巨大な施設がきちんと処分されるか保証はない」と疑問を投げかけた。


 また、計画に賛成する声が多いとされる長谷地区については
「地域協議会の場などで理解を求めたい。人口減少や高齢化の率が高く、地域の活性化に対する思いは理解出来る。
 しかし、風力発電が観光などの活性化につながるかは疑問だ」との見解を示した。
今後はトレッキングコース整備による山岳観光など市全体で観光施策を立てて、活性化につなげる意向を示した。


 国の政策は、温暖化防止が喫緊の課題であるから自然エネルギー普及のために補助を出している。
山の自然を守るといいながら、山岳観光を推し進めれば、風力発電施設の建設よりも甚大な環境破壊が待ち受けている。
この市長は、何にも分かっていないのに、判ったつもりになっているから始末が悪い。


 事業者に対して、建設方針の転換を促す話し合いの場を設ける考えを明らかにしたが、
事業者だって、こんな分らず屋と話をするのが嫌だろうと思う。
伊那市の民主的な民意は議会によって、建設を受け入れている。


 エネルギー問題や環境問題を誤解している非民主的な市長によって、
伊那谷自然エネルギー普及に遅れが生じることがあってはならない。
推進派も一部地域の利益を前面に出すことなく、広域の視点で考えてもらいたい。


 そうすれば、市長の不見識が際立ち、社会からの批判に晒されることになる。
欲に目をくらませている時ではないですよ。
原子力、脱化石エネルギーを真剣に考えたら、風力発電に基本的に反対できなくなる。


田舎者の狭い了見で考えていたら世の中の笑いものになってしまうぞ。
まあ、ドイツくらい(1843万kW)作ってから問題にするならまだしも、
日本国内での風力発電の累計導入量は2006年3月時点で1050基、総設備容量は約108万kWでは、
景観を犠牲にしているとして問題にするレベルに達していない。