・エネルギープランツの将来

昨日の信濃毎日新聞の経済私評は「エタノール米で活路を」。
農作物から生産するエタノールが脚光を浴びていることから、
日本で有望な原料は『米』だと論じている。


多収量米を直播すれば、採算ラインに近づくとの試算だが、
この博士は大きな見当違いをしていることに気が付いていない。


鳥取環境大学教授の投稿だが、エネルギー生産の観点に目が奪われてしまい、
多収量米がもたらす弊害を見落としている。


多収量米の生産は、化学肥料と化学農薬の使用が大前提となる。
化学に依存した農業生産による、農地の環境破壊の実態を知らないのだろうか。


私は、農業は営んでいないが、自分で食べる米は作っている。
そんな片手間の米生産者でも、稲の品種改良とこれを支える農薬の関係くらいは知っている。
化学肥料の使用により葉の繁り過ぎと病害虫が発生し、
この対策として農薬施用と品種改良による葉の繁り具合の調整が行われた。


しかし、品種改良は葉の繁りすぎの対策としては有効だが、病虫害への抵抗力を高めることはできなかった。
解決策としては農薬使用が最も効果的であり、
現行の慣行農法の化学肥料と農薬の関係が出来上がったといわれている。


化学農薬と肥料は、農地の環境破壊を招くだけでなく大量のエネルギーを消費して生産される。
エネルギープランツの将来構想にしてはあまりにお粗末です。
環境大学の教授がこんな単純な環境破壊を見逃がすとは思えないので、
言葉足らずだったのだと解釈したい。


一方で塩尻市がエコタウン構想を発表した。

 塩尻市は新年度、環境保全や農業振興の施策を一体化させた「塩尻エコタウン構想」の研究に着手する。市内の遊休農地を使ってアブラナを栽培し、食用の菜種油を生産。使った後は捨てないで精製し、ディーゼル車の燃料に回す。市内で資源を循環させることで、化石燃料の使用量削減を図るとともに、農地の有効活用も狙う。 

循環型で環境に負荷が掛からず、永続性がありますね。


遊休農地にエネルギー作物を植えたり減反の水田に多収量米を生産することも検討の価値はあるが、
それよりも雑草といわれ、強靭な生命力を持つ、自生植物の有効利用のほうが現実的では。
建築廃材がエタノール原料として引く手あまたになったことから考えても、そう遠くないと思います。