・政務調査費を返還すべき理由

支部事務所の賃借料は不必要

会派の支部事務所の多くは、議員個人の後援会事務所と兼ねているが、「○○○○後援会事務所」という看板を出すことは、選挙対策上必要であるが、県会議員の仕事は、弁護士や司法書士や税理士のように依頼者と頻繁に連絡を取り、頻繁に依頼者が来所し、事務員と弁護士などが常駐する仕事ではない。したがって、自宅事務所程度で十分であり、自宅から独立した事務所は、通常必要性が少ないと考えられる(もちろん、真に有効に活用し、必要性がある場合もあろう)。

また、自分の親族、自分の関連会社から賃借している例が多く、古田議員、萩原議員、小池議員、小林宗生議員、高見沢議員、保科議員、清水洋議員、牛山議員、小松稔議員、小林利一議員などである。自分の関連会社や親族が貸主でなければ借りない、または、政務調査費が充当できなければ借りない、という可能性が高い。政務調査費を賃借料に支出する限り、その必要性を厳格に明らかにさせるべきであり、賃借している事務所をどのように使用しているか、事務員が常駐しているか、電話を設置しているか、そこに設置している電話番号は何番か、など、何のために必要かを証明させるべきである。

それが明らかにならなければ、政務調査費を充当すべきではない。また、このように、多くの議員に支部事務所は必要性がない限り、例外的に、必要性がある議員がいても、これに政務調査費を充当すべきではないとも考えられる。仮に必要性があるとしてもマニュアルによると、後援会との按分比率は50%の充当が上限であるにもかかわらず、75%、80%も政務調査費を充当しているのは、違法、不当である。

監査委員は、本監査請求において、各会派にこのこと明らかにさせなければならない。

支部事務員―親族を雇用

多くの支部事務所と称する事務所の中で、労働実態はせいぜい1ヶ月40時間から60時間程度のものが多く、親族を雇用していると推定されるものがある。小林実議員、塚田一議員、古田議員、佐藤友昭議員などである。

長野県議会の政務調査費マニュアル12頁によると、「議員の親族を政務調査活動補助員として雇用し、政務調査費を充当することは誤解を招きやすいので適当でない。ただし、親族が調査活動に関して専門的知識がある場合など、親族を雇用する特別な理由が必要であり、社会通念上妥当と判断される雇用形態を有している場合に限り政務調査費を充当することができる。」と定められている。したがって、親族を補助員として雇用し、政務調査費を充当する場合、専門的知識を有することを証明する義務がある。そうでない限り、返還する義務がある。

③飲酒が伴う飲食費

長野県議会政務調査費マニュアル7頁によると、「調査研究活動の一環として開催されるものであっても、飲酒を伴う会合の飲食費には政務調査費を充当しないものとする」と定められている。3000円以上の会費を伴う懇談会(懇親会、新年会はもちろん)は原則として飲酒を伴う飲食費と推定される。しかるに、多くの議員は、これらの懇親会などに対する会費に政務調査費を充当しているが、返還する義務がある。

④調査研究活動に不必要な旅費

政務調査費は、会派に支出されたのであるから、政党活動や後援会活動や私的な活動に対しては、政務調査費を充当できない。しかるに、県会議員らは、調査研究とは思われない活動に対し、政務調査費を充当している。

⑤県外視察での無駄な宿泊費、旅費、研修費、土産代

政務調査費を充当する限り、その必要性が厳しく問われなければならない。しかるに、1泊でできる調査研究活動なのに、観光目的のために2泊したり、日帰りで調査できるにも関わらず、観光目的で宿泊していると思われるものがある。県民クラブ・公明と志昴会は、視察と称して、観光旅行目的と推定される場所へ行き、宿泊をし、旅費宿泊費、研修費に政務調査費を充当した。また、官公署を視察する場合、土産を持参することは、公務員個人が公務をして土産をもらうこととなり、公務員倫理に反するものであり、土産を持参すべきでなく、政務調査費を充当すべきでない。

⑥ガス代、電気代、新聞代、電話代、各種団体の会議出席の旅費・会費負担における私用、後援会、会派事務所の負担按分割合の不当性

マニュアル3頁には「事務費及び人件費の按分については、2分の1を上限とする」と定めているのに、政務調査費を70%、80%充当している会派、議員がいる(志昴会など)。また、マニュアル9頁には調査研究活動事務所、政治団体事務所、住居を兼ねている場合の光熱費、電話料金、上下水道代金、賃借料の按分の限度額を定めている。大部分の会派議員は3つを兼ねているのであるから3分の1しか政務調査費を充当できないのに、50%程度政務調査費を充当している。事務所を借り上げているとしている議員も実際には自宅に設置してある電話、光熱費などにつき、50%按分して政務調査費を充当していることが多い。自宅に設置しているのか、借り上げた事務所に設置してあるのか確かめる必要性がある。

新聞代などは、ほとんどの議員が全額政務調査費を充当しているが、私用や後援会からも費用を出すべきである。