・脱化石エネルギーのシナリオ②

昨日に引き続き、読者からいただいた脱化石エネルギーに関する投稿(コメント)です。

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 自分の専門の風力だけ持ち上げるとフェアではないので、風力の難点も上げますと・・・

  1. 20年程前に考えられていたより、環境への影響が大きい事がわかってきた。
  2. 景観破壊
  3. 風力発電業界での利権争い

の3つですね。

 1に関しては、単純に生態系に対する理解が浅かった為です。
動物界、植物界レベルでしかアセスメントを行わなかったため、ドミノ倒し理論で言えば、
最初のドミノである、モネラ界について全く無視してしまい、
設置後20年で周辺環境がカタストロフを迎える事態も起こっています。


 また、風そのものの研究も今ほど盛んではなく、風の合流や、それに伴う気圧の変化、
気温の変化を過小評価してしまい、渡り鳥の渡りを阻害してしまったり、
周辺の植生を大きく変えてしまい、その為に災害が起きたり、草食動物を激減させ、
それに伴い、希少な捕食者(猛禽や、大型の肉食動物)を絶滅に追い込むこともなかったとは言いません。

  • アメリカでは、新規の風力発電が次々計画される一方、アイオワアリゾナなどでは、全く予期しなかった環境負荷が明らかになり、操業を停止したウィンドファームもあります。
  • よく、風車を「鳥用ギロチン」と呼び、それを理由に風力発電に反対する人がいますが、旧式のプロペラ風車でもなければ、鳥がブレードに突っ込み殺傷されるなどと言う事態は、滅多に起こりません。
  • 現在では、これらの失敗を元に、土壌細菌レベルから入念なアセスメントが行われ、大量に蓄積された過去のデータを基に、綿密に環境負荷を測定します。それがうまく行っている証拠に、近年10年以内に欧米で設置された風力発電施設で、想定を超える環境変化が起きた事例は一つもありません。


 2に関しては、設置に伴う周辺樹木の伐採、地下の掘り起こし、設置された風車の外観ですね。
設置場所にもよりますが、かなり大規模に周辺の伐採は行います。
と、言うのも、大規模発電を行える風車のサイズと言うのは、
数字で聞いてもピンとこないかもしれませんが、実物を見ると、それは巨大なものです。


 その巨大な建造物が、まともに風を受けるように設計されているのですから、
よほど基礎がしっかりしていないと、台風などに耐える事はできません。
周辺のかなりの面積を伐採し、地下を掘り起こし、しっかりとした基礎を作るのです。


 その過程での、工事が景観破壊と見られるのですが、なにも、将来にわたって、
伐採した面積を丸坊主にしておくわけではありません。
メンテナンスに必要な部分だけ残し、植栽しても良いのです。


 風車の外観に関しては・・・
好みの問題だと思います。
確かに、「醜い」と言う方の気持ちもわかります。
私だって、そのあまりの巨大さに、時には、ぞっとする事がないわけではありません。
(しかし、まあ、これは・・・「慣れ」をお願いしたい部分ですね・・・)


 3に関しては・・・
これは、実際に風力発電が行われる地域の方には、しっかりと監視していただきたい部分です。
企業によっては、「データが得たい、実験がしたい」がために、不必要なギミックを追加したり、
稼働させて得たデータを独り占めする事がないとは言えません。
運営主体となる企業に、「稼働させることで得られるデータは全て一般にも公開されるのか?」
と言う疑問は必ず投げてください。言葉を濁す企業なら、建設を認めるべきではありません。


 風力発電は、未来に希望を与えるシステムであると同時に、
巨大な市場、利益を生み出す「打出の小槌」の側面も持っています。


特定の企業が権益を独占したいがために、
風力発電技術の進歩を遅らせるような事があってはならないと考えます。