・札幌便存続の代償は危険性増加

 JALが廃止を検討した札幌-松本便はプロペラ機の代用で
一旦は収束したかに見えていました。
しかし、使用する同型機が高知空港胴体着陸した事故を起こしたことで、
運行に対する信頼性が低下しています。


 札幌便に使用される予定のボンバルディアDHC8―Q400型機で、前脚が出ず胴体着陸した事故は、
偶発的なものではなく、頻発していたことが判明しています。


 機体を製造したボンバルディア社(カナダ)の同系機で前脚が出ず胴体着陸した事故が過去7件あり、
うち4件は05年以降に起きたことが分かっっています。
今回の事故でボルトが脱落したアーム部分(連結器)に何らかの力がかかり、変形したのが原因となったケースもあったようです。


 87〜07年の統計で、カリブや米国、カナダなどで計7件発生。
87年、96年、00年は各1件だが、05年は2件、06年1件で、今年も高知の事故の前に欧州で発生しています。


 県が億単位の財政負担を肩代わりして就航させるのが、他の自治体から代替機を要求されている危険な機種では、
県民の理解が得られません。


 札幌便の存続をボンバルディア機の代替で検討していた最中に、胴体着陸事故が欧州で起きていたのに、
危険性の増加を新たなリスクとして認識していたなかった当事者の能力不足が考えられます。


 ボンバルディアDHC8―Q400型機は、競合する機種が存在しない独占状態が原因で、
安全性の確保へのメーカーの姿勢が乏しいとも指摘されています。
搭乗率の低下が懸念される松本空港で、危険性が全国で認知された機種を利用し続ければ、
同空港の利用者減に拍車が掛かることは当然の成り行きです。


 今一度、億単位の企業支援の妥当性を考え直すべきだと思います。