・長野県の景気は本当に悪いの?

日銀松本支店

 村井知事への支持を明確に県議選を戦っている候補たちは、
長野県は景気が悪いので公共投資で景気浮揚が必要だと言いますが、
本当に景気が悪いのでしょうか。


政治屋の捏造チラシを鵜呑みにすることなく、実際の状況を把握してみます。


 日銀松本支店が先日の2日に発表した「第132回全国企業短期経済観測調査」によると、
業況判断D.I.は、村井知事の当選直後に落ち込んでいる。
村井知事が産業界の期待を一身に背負って登場したと思われていましたが、
企業の経営者たちは、村井知事誕生後の業況判断を下方修正していることになります。



 日銀短観とは、日本銀行が景気の現状や先行きについて、直接企業からアンケート調査を行ない、その解答を集計したもの。
アンケート調査の内容は、生産高、売上高、輸出額、設備投資額、借入額、人件費などの他、企業の現状や先行きに対して、
企業経営者がどのように感じているのかなど。
業況判断D.I.は、この調査をもとにして、業況がよいと判断している企業の割合から、
業況が悪いと判断している企業の割合を引いて計算する。
この中で、主要企業・製造業の業況判断D.I.は、主要企業の経営者が、企業の現状・先行きをどう見ているかがわかるため、
景気の指標として利用されることが多い。
ただし、業況判断D.I.は企業の経営者の主観に左右されることに注意する必要がある。


 田中知事が誕生した2000年には五輪特需の余波もあって業況判断は上向いていました。
しかし、五輪バブルの崩壊で翌年の2001年には一気に落ち込みました。
そこから田中知事が落選する2006年の8月頃まで、景況判断は右肩上がりになっていました。


 知事選の最中には、田中県政の緊縮財政で長野県の景気が低下していると吹聴されましたが、
実際の経営者の判断は異なっていたのです。
景況判断の向上は、製造業だけでなく、非製造業も同じ傾向にありました。


 日銀の調査による長野県内企業のアンケート調査ですからこれほど信頼性の高いデータはありません。
村井知事を支持するほとんどの県議候補が、田中前知事によって長野県内の景気が低下したと言っているのは、
経営者の主観をも反映していないことが分かります。


 県議候補が長野県の景気を悪くしたのは田中前知事で、景気をよくするのは村井知事だ!と言っているなら、
日銀短観の現実と乖離していることを頭に浮かべてください。
事実は、彼らが言っていることとは異なるのですから。