・建設不況は田中前知事に責任?

浅川ダム

 村井知事を賞賛し、田中前知事をこけ脅す利権派県議候補の後ろ盾は、
公共事業削減で辛酸をなめた建設業界です。
村井知事は、景気回復のために大型公共投資を打ち出し、
腰巾着の県議たちは、建設業の組織票固めが磐石だと思い込んでいます。


 しかし、長野県の建設不況は、知事が誰になっても改善しないことは、
建設業界の体質をご存知の方なら知っていて当然のはずです。


 建設不況の根本的な原因は、長野県内の建設業者数が必要以上に多いことに尽きます。
日銀松本支店の分析によると、厳しい環境の中でも建設業者数が減少しないのは、

  1. 合併しても売上増や採算改善に結び付きにくいとして、他社との統合に前向きでないほか、
  2. 生産設備などの初期投資が不要なため新規参入が継続的にみられること、
  3. とりわけ県内建設業者は、過去の内部留保が残っていることや、農業や除雪作業などの副収入が建設業の減収を補い、収入を下支えしていること、などが考えられる。

こうした特徴が、他地域と比べて切迫感を薄くしている可能性があってのことです。


 建設業者の票を当てにしている候補たちは、田中前知事が建設業者を苦しめたと批判して
味方に引き入れることに必死になっていますが、競争入札の導入は政府が主導して進めた結果です。
国会では2000 年11 月に「公共工事の入札及び契約適正化の促進に関する法律」が成立し、
公共工事入札における一般競争入札が拡大しているのが実態です。


 また、県の投資的経費を削減したことによって予算のバランスが悪くなったと指摘する候補がいますが、
長野県の建設業は、過剰な公共投資に支えられていたことを県民には隠したままです。
下のグラフを見比べてください。全国と長野県の建設投資の推移です。

全国建設投資県内建設投資


 全国のグラフでは、民間投資が公共投資を常に上回っていたにもかかわらず、
長野県のグラフでは、五輪特需を核にして公共投資が民間を上回っています。
公共投資に寄生した建設業の実態がここに現われているのです。


 田中県政が公共事業を過度に削減したのではなく、全国並みに民間投資と公共投資の比率を適正化しただけです。
2005年度における建設投資額は、公共投資が民間の55%程度になり、全国平均と同一です。
過去の公共投資が過剰だったものを前県政が適正化した結果を、村井知事とその腰巾着県議候補は理由も考えずに批判しています。


 過剰な公共投資が長野県に全国一の借金を生んだことは、県民なら誰でも知っているはずです。
過剰だったものを適正化したから長野県の借金の増加が止まり、減少へと向かっているのです。
減り始めたばかりの借金を、また増やそうとしているのが村井知事であり、腰巾着県議候補です。


 多すぎる建設業者を食わしていこうとすれば、かつての過剰な公共投資が復活するのは当然です。
過ちの歴史を繰り返す選択をしてはならないと思います。