・駒ヶ根から長野県を考える議員とは

長野県

 長野県議会議員選挙の投票日です。
長野県の行く末を案じて、県議選特集で臨んできましたが、
その成果が試される審判の日であります。


 私自身、長野県議とは、県民にとってどのような存在であって、
県民からは何を託されているのか考える良い機会となりました。


仕上げとして、投票するに際し、選択のための要点をまとめてみます。
県議に託すべき仕事とは何か、はっきりさせます。

県議の仕事とは

議会の役割

 民主主義の基本となる三権分立によって司法、立法、行政に役割が分担されています。
「議会」は「決定機関」としての「立法」を司っており、法律を制定する最高機関として位置づけられています。

長野県議会

 「行政」に対しては、予算承認権、監視・監督のための様々な権限を持ち、

  • 提出された議案に対する議決権
  • 条例の制定、改廃
  • 予算の決定、決算の認定
  • 執行機関の事務に関する検閲、検査権(第98条第1項)
  • 監査委員に対し監査を求めること(第98条第2項)
  • 国会又は関係行政庁に意見書を提出すること(第99条)
  • 普通地方公共団体の事務に関する調査権(第100条):百条委員会

などを職務としています。

県議の本来の職務

 要するに行政をチェックする監視・監督の機能が最も重要なはずです。
県の行政の長は知事ですから、知事を監視・監督できるのは県議会の特権であるはずです。
では、知事と共同歩調を取る県議は、本来の仕事ができるのでしょうか。


 前県政のときに田中知事がとんでもないことをしても、知事与党の一部の県議は「非」を突きつけられませんでした。
知事が万能であるはずはないのですから、間違った方向性を示した時に、
真っ先に諌めるのが理念を同じくする県議の仕事だったと感じています。

村井知事初登庁


 村井知事とともに歩む議員は、田中知事のそれとは比べ物にならないほど多数です。
県が間違った方向に傾いた時に、機能不全に陥ることは目に見えていると思います。
県議に求められる適性は、知事と対峙し、一定の距離を置いて監視・監督できるかどうかに尽きる。


 吉村県政の時代は、県の提出する議案はほとんど議会で「監視・監督」されることなく、
素通りしてしまった結果が、全国一位の最悪の公債費比率を生んでしまった事を教訓としたい。

地元県議に託す願いとは

地元の代表

 県議は地域ごとに選ばれますから、すべての地域に地元選出の県議がいます。
県のお金で道を通す、施設を作る、これらが県議の働きを示すバロメータとされてきましたが、
県と市町村・県民を繋ぐホットラインが用意されたことで、県議の働きとはみなされなくなってきました。
もちろん、地元に関連する県の施策には、他の地域の県議よりも熱心に監視・監督することが求められます

駒ヶ根市区


 県議に託す県民の願いは、地元の県民の目線で県の施策を考えることです。
長野県の県益となる事業で、地元が必要とするものを監督することが必要なのであって、
地元に有利な事業や開発を引き込む調整役を県議に求めるのは、議員と利権を結びつける危険性をはらんでいます。

地元民と一体で考える

 しかし現実には、県の予算から地元への開発事業を引き込むことを県議に求める支援者が後を絶ちません。
県議となるためには支援者の働きが欠かせないので、仲介業に精力的に働かざるを得なくなります。
県議に本来の仕事をさせていないのは、支援者のエゴなんだと思います。


 県民から県議に託されるべきものは、金への要望ではなく、県の施策を見抜く力です。
県議と地元が一体となって、県がすすめる施策を考え、県議会でこれを質す。
考える基本は、自分の利益ではなく、将来の子孫の利益です。

これからの長野県が目指すべき道

長野県は地球にある

 長野県は日本の地方自治体で、日本は地球に存在する国家です。
今、地球温暖化が急速に悪化することによって、地球上のあらゆるところで異変が生じています。
恐ろしいのは、これらの異変が恒常化し、地球環境そのものが変化してしまう事態です。

地球


 現代の人間が生活する基盤となっている「経済」と地球環境は反比例の関係にあります。
経済規模が地球の許容量に納まっていた時代には、経済発展によって人類は豊かになりました。
しかし、地球の許容量を越えた現在では、経済が発展すれば地球環境は確実に悪化します。


 地球環境に関心がある人なら、地球温暖化を防止するには地球規模で経済レベルを下げるしかないことは知っています。
経済は国力と密接な関係があるので簡単には下がりませんが、下がらなければ結果として国の環境が破壊され国力が低下します。

温暖化防止が命題の産業育成

 このことは、日本の地方自治体である長野県にも当てはまります。
福祉・教育には資金が必要だからと、利潤を求めて産業に投資し、公共事業を増やせば、確実に長野県の環境は悪化します。
ところが、福祉や教育に直接投資すれば県民の生活は守られても、環境の悪化を抑えられます。

地球温暖化


 経済レベルを上げて、そこで生じる差益で福祉や教育を向上させようとする考え方は、
今日の地球温暖化の制約を受ける状況下では、村井知事たちが考えている成果を挙げることはできません。
県は必要最小限の事業にとどめ、民間も環境負荷に直結するハード事業から生活を豊かにするソフト事業への転換を促すことで、
地球が許容する経済規模へのなだらかな低下を受け入れる必要があります。

適正な産業育成

 河川の治水に必要だからと巨大なコンクリートダムを作れば、建設業者や資材業者、これらの関係者は潤います。
さらに、一旦作ってしまえば、多額の費用をかけて管理することが求められます。
ハード事業は、連鎖的に金を消費する仕組みになっていて、そこが利権を生む要因となっています。

ダム


 長野県民に必要なのは、大型土木事業ではなく県民の生活環境を豊かにする福祉事業です。
県民の福祉を充足するために必要な県内産業の育成を考えるべきです。
適正な産業育成が、良好な長野県の生活環境を育むと考えれば、
過剰な数の建設業者を潤すための大型公共投資の弊害が理解されると思います。

子供たちの将来の目線で考える

 長野県民が長野県の将来を考える時には、自分ではなく子供、孫の時代に置き換えて見る必要性があります。
ダムはやがて取り壊すことになりますが、壊す費用とこれに伴う環境負荷は孫の世代が負担します。
しかし、ダム建設で得られた利益が、孫の世代まで受け継がれるでしょうか。
それはありえません。これまでに溜まった借金の返済に回されてなくなってしまいます。


 小さな行政を目指すのが、今の私達に与えられた選択の指針です。
子供たちに負担を残さない選択とは、分かりやすく言えば地球温暖化を防ぐためにハード事業を抑制することだと思います。
県議になる人には、国の補助があるとか、有利な借金だとかの観点ではなく、事業の良し悪しを見極められる資質が求められます

子どもの未来


 長野県が地球温暖化防止をおざなりにした公共投資依存型に陥らないように監督し、
あるべき道を歩ませるように監視するのが県議に託す仕事です。


 県知事と共に歩むのではなく、対峙しけん制しあう、緊張関係を保てる人を県議として選択したい。