・水洗便所で地球温暖化

江戸のおトイレ

 今朝の信濃毎日新聞の読者投稿に「水洗トイレの洗浄水がもったいない」との意見がありました。
 雨水を溜めたり、蛇口から出る水を節約しても、便所で捨ててしまう「飲める水」を考えると、矛盾していると思えます。


 トイレの水洗化は、住宅が密集した都心や、地方都市でも街部では必要とされています。
江戸期のような、資源循環型社会が崩壊した現代では、仕方のないことです。


 都市部に設置される水洗便所のための施設が「公共下水道」ですが、まったく同じ施設でも農村部が対象になると「農業集落排水事業」と名前が変わります。


 ほとんどの場合、農業集落排水事業(以下、農集排とします)は、合併浄化槽もしくは、小規模集落集約型合併浄化槽の方がコストも効果も向上することが多い。


 農村部では、住居が離散していることから、下水道の距離に対して接続戸数が少ないから、土木工事費が割高になるのが一因ですが(実はこれが農集排のうまみ!)、
 都市部のし尿は廃棄物としても、農村部のし尿は肥料であるはずのものを、都市部と同様に扱ってしまっていることが問題です。


 肥料となるべきし尿を廃棄物処理して、化学合成された肥料を田や畑に入れて、土地を荒らしてしまっているのが現状です。


 飲むためのきれいな水を、汚物を流すためだけに大量に消費し、肥料となるべき有機物を捨ててしまい、石油を原料にした肥料を土に入れて自然を壊す。
農集排がもたらす弊害は多岐にわたります。


 工事費だけを取り上げても、多額の無駄な費用が生じています。
下伊那郡の下条村では下水道事業で45億円を見積もった生活廃水事業が、合併浄化槽を選択したことによって、6億3千万円に収まっているとの実績があります。


 農業集落排水という名の下水道は、無駄だし、高いし、地球温暖化を促進するし、土も壊す。
農民が、このことを理解しないと、地域の自然環境はどんどん壊れていきます。