・温暖化は途上国に深刻な打撃

国連開発計画(UNDP)は27日、いま地球温暖化対策に取り組まなければ、発展途上国が飢餓や水不足、難民増大などの深刻な脅威にさらされると予測し、国際社会の取るべき対応策をまとめた報告書「気候変動との戦い」を公表しました。

報告書は、先進国のエネルギー消費によるしわ寄せが途上国に及ぶ“矛盾”を強調し、先進国はCO2排出量を1990年比で2020年までに30%、50年には同80%の大幅削減が必要だと指摘しています。

12月3日からインドネシア・バリ島で始まる気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)で、13年以降の新たな枠組みづくりの議論に影響を与えそうです。


報告書は、京都議定書が12年までに先進国に義務付けた5%減の達成すら危うい中で、最新の気候予測モデルを基に現状のままなら32年には、激しい気候変動が避けられない“危険値”を越えると警告。途上国にも50年までに同20%減を求めている。

気候変動の影響は特に貧困地域で深刻化。

サハラ以南のアフリカや南アジアなど乾燥地帯は農業生産ができず、
・80年までに栄養失調が6億人増加
・80年までに18億人が深刻な水不足に直面
・エジプトやベトナムバングラデシュなどのデルタ地帯や島しょ国の水位上昇で3億3000万人が難民化
・公衆衛生悪化で2億2000万−4億人がマラリアに感染
と予測しています。


排出量の大幅抑制策として、炭素税導入や排出量取引など「炭素市場」の整備、厳しい排ガス規制の導入、二酸化炭素を分離・貯留する技術開発を挙げた。また、途上国が今後の温暖化に適応できるよう先進国に防災、保健、医療、教育分野などに15年までに計860億ドル(約9兆3000億円)の融資も提言した。
中日新聞他より引用)