・市長選、杉本候補の政策を検証

信濃毎日新聞 1/14駒ヶ根市長選挙に立候補した三名の候補者の政策を評価する二回目は、届出順に杉本候補。

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前回の市長選で中原市長に破れた反省をどのように活かすかが、選挙戦略の要と見られています。

杉本候補の出陣式は、上穂地区集会所の広場で行われ、支持者から「行動力があるのはただ一人」と激励されました。

これに応える形で本人は「行政主導から市民参画へ」と市政の軌道修正を示した。

財政改革は未知数

財政は「情報をオープンにして市民に分かりやすく伝える」とし、「市民の知恵や力を借りながら取り組む」姿勢を示した。

市民参画は中原市長も大きく掲げた政策の一つであり、目新しさはない。

また、市民の力を借りてどのように進めていくのかの方向性が見出せない。


市民とともに市をつくる姿勢は評価できるが、市長として具体的に何をやって財政を改善するのかについては触れられなかった。

14日の新聞折込で配布された政策ビラには、市の借金を4年間で20億円減少させるとの政策が示されていますが、財源として同時に示されたのは、市長報酬と退職金の20%削減、公共事業の入札制度の見直しだけなので、年間4億円の財源を示したとは言いがたい。

医師問題解決のための道筋が不明

昭和伊南総合病院の医師不足には独自の政策が示されました。

公募債の発行で借金を借り換え利ざやを浮かす考えです。


しかし、公募債を「発行する」ではなく、「発行を考える」と実効性に含みを持たせたのが気に掛かる。

命の安全保障にはお金を惜しまないとの意気込みは買うが、全国の自治体が病院の赤字補填で苦しんでいる現状からすると、理念としての評価にとどまり、現実問題としては評価するだけの裏づけがないといえる。

世論調査から見た候補者としての評価はまずまず


杉本候補の政策は、「現市政の基本的な路線は評価し、改めるべきは市民の声を聞いて変えていく」と言うのが基本路線。

信濃毎日新聞が12日に公開した世論調査によると、「投票する際、重視することは何ですか」の問いに最も多かったのが『公約・政策』 (44.8%)

杉本候補が最も重視する公約は「市民参画へリーダシップをとる」ですから、有権者は「市民の声を聞いてくれる」ことと「リーダーシップ」に着目することになります。


一方、「市長に最も期待する資質は」の問いで、5.7%と二番目に低かったのが『市政や広域でのリーダーシップ』

「市民の声を聞く姿勢」が45%と最も高い要求であることの反面、杉本候補が思っている以上にリーダーシップが期待されていない現状があって、評価は必ずしも高くならない。


世論調査で具体的事業として取り上げられた「東中学校を移転、40億円かけて天竜川西側に新中学校を建設する方針について」の問いには、68.8%と圧倒的多数が『新中学校は建設せず通学区見直しで対応する』を選択しました。

杉本候補は、通学区の見直しには触れているものの、「新中学校を建設せず」の市民要望には態度を明確にしていません。


有権者のニーズを一面では捉えている点が評価できますが、片手落ちの側面もあり、まずまずの評価にとどまると思います。