・深夜テレビ自粛は温暖化防止×

バージニア電力のマウント・ストーム石炭火力発電所=(社)日本原子力産業会議提供昨日報道された、↓(下)の記事を見て、日本の政治家が自国のエネルギー事情を全く理解していないで「温暖化防止」を論じていることに愕然としました。

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<深夜テレビ>温暖化対策で自粛促す意見相次ぐ 自民党 =3月4日18時19分配信 毎日新聞

自民党が4日開いた総務会で、地球環境問題や原油高騰を理由に深夜のテレビ放送の自粛を促す意見が相次いだ。

きっかけは、京都議定書の目標達成に向けた政府の「地球温暖化対策推進法改正案」。総務会はこれを了承したが、森山真弓官房長官が温暖化対策に絡め「いつの間にかテレビは24時間やるようになった」と指摘。70年代の石油ショック当時、放送局が深夜放送を自粛した例を引き、「(温暖化対策も)それぐらいやらないといけない」と訴えた。加藤紘一元幹事長も「京都議定書も今や他人ごとだ。これでは目標は達成できない」と厳しい見方を示し、同調する意見が続いた。

家庭を中心に温室効果ガスの排出量増に歯止めがかかっておらず、深夜テレビもやり玉に上がり始めた格好。谷垣禎一政調会長は「法的規制はできないが、世論喚起の必要はあるのではないか」とやんわり議論を引き取った。

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夜間電力は主に、原子力と水力によって発電されているのは、温暖化防止に関心を持っている人ならば知っていなければならない常識のはず。

これらの設備がCO2を排出していないわけではないが、火力発電所の比ではないことは誰もが認めるところでしょう。

また、水力・原子力がCO2以外の環境破壊をもたらす問題は、今回は外して考えます。


自民党のおバカ議員が問題視した深夜テレビの放映で消費する電力のほとんどは、CO2の直接発生源とはならない原子力と水力によって発電されています。

火力発電も停止しているわけではないが、最低限の稼動維持のために発電しているに過ぎない。

番組制作も深夜だけに行われるわけではないので、深夜テレビがCO2と無縁だとまでは言いませんが、電力で発生するCO2を削減するには、火力が全力を発揮する「昼間の電力消費」を抑えるのが最も効果的。


深夜番組の制作を担う制作会社の業務拡張に伴って、オフィス面積が増大し、それによってエネルギーの消費が増加しているからというなら理屈も通じます。

現に、CO2排出の増大はオフィス床面積の増加に起因しているとの報告があります。


70年代の石油ショックの時代と、発電エネルギー構成が異なっていることを全く知らないのか、国会議員さんよ。

また、この報道に対して「深夜番組は有意義だ」として的外れの反論しているブログも多数あります。

これほど問題の本質を理解していない人が多いことに、また愕然とさせられました。


24時間営業のコンビニ、昼夜連続稼動の工場設備そのものが悪いのではなくて、消費している電力の発電資源は何なのかに注目することが大事です。

この報道に関するコメントや論調で、温暖化防止そのものをどの程度理解しているか判ってしまう、リトマス試験紙のような課題ですよ。


これを機に、正しい効率的な温暖化防止の知識を国会議員に教え込み、勘違いしている国民に教えることの大切さを、温暖化防止の関係者は再認識してもらいたい。