・深夜TV自粛と温暖化、官房長も

東京大学 新領域創成科学研究科 環境システム学専攻 海洋環境システム学研究室HPより先日、深夜テレビを自粛させることで地球温暖化防止対策とするという、アホなことを真顔で言う政治家を取り上げましたが、官房長官までもがアホの仲間入りをしてしまいました。

町村信孝官房長官は7日午前の記者会見で、地球温暖化対策として深夜のテレビ放送を自粛することについて「幅広い見直しの一環として、議論の対象になってくることはあり得る」と述べ、前向きな姿勢を示した。深夜放送をめぐっては、4日の自民党総務会で自粛を求める意見が相次いでおり、政府としてもこれに同調した形だ。
 町村長官は「基本的には各マスコミの自主的なご判断による」としつつも、「低炭素社会をつくるために、一人一人の国民が何ができるかを見直していくことが今求められている」と強調。政府の「地球温暖化問題に関する懇談会」で、深夜放送のほか、24時間営業のコンビニエンスストアなどの見直しについて議論していく考えを示した。 =3月7日 時事通信
先日の記事では、深夜電力は原子力で発電されているから深夜テレビを自粛してもCO2削減の効果は期待できないと書きました。

基本的には、その傾向があるのですが、もう少し詳しく説明すると状況は複雑です。

分かりやすく解説したサイトがありますのでご紹介します。(PDFファイルです)
夜間電力 24時間営業の環境負荷は果たして本当か


右上のグラフからも分かるとおり、夜間と昼間ではCO2排出の差は僅かです。

これは、”夜間”であって”深夜”ではないからです。

最も電力需要が低下するのは午前4時頃といわれており、右下の東京電力のデーターが示しています。東京電力 夏の一例


一方で、東京電力のデーターは、深夜時間帯でも火力発電が稼動していることも示しています。

原子力発電所は、運転制御がほとんど行われませんが、火力発電所だって発電を絞り込めはしますが停めることはできません。

停めてしまうと、着火に長時間が必要だからです。(もちろん効率も悪くなる)


だから、深夜でも火力発電が行われCO2が排出されることは避けられません。

そこで、これを削減しようと深夜テレビや24時間営業のコンビニを悪玉にしてしまうと、困ったことが起きます。

火力発電がこれ以上絞り込めないとすると、発電量の削減は原子力のベース発電量切り下げにつながるからです。


原子力発電は、環境負荷は多大ですがCO2の排出は少ないと政府は言っているはずです。

深夜テレビを自粛すると、原子力発電を削減するジレンマに陥ります。

正確なデーターが公表されていないので、このジレンマを理解するのは難しい状況ですが、少なくとも政府には、ちゃんとしたデータがあるはず。


その政府の顔である官房長官が「低炭素社会をつくるために」つじつまの合わない、深夜テレビや24時間営業のコンビニをターゲットにしているようでは、日本の温暖化対策が根本から信用できません。

深夜テレビや24時間営業を支持するつもりはありませんが、温暖化防止対策という点に限ってみると、効果的な政策でないことは理解してもらえたと思います。