・CO2を13%削減=負担52兆

トヨタ ハイブリッド車 プリウス経済産業省が”世界常識”を逸脱したとんでもない試算を公表しました。

経済産業省は19日、総合資源エネルギー調査会経産相の諮問機関)需給部会で、エネルギー需給の長期見通しを公表した。企業と家庭が最先端の省エネ技術や機器を最大限導入した場合、燃料消費に伴う二酸化炭素(CO2)の国内排出量は2005年度の温室効果ガス総排出量に比べ、20年度で13%、30年度は22%削減できると試算した。
 経産省はエネルギー利用効率の改善で、「欧州委員会の掲げる目標に遜色(そんしょく)ないレベルの排出量削減が見込める」と説明。ただ、企業と家庭の負担は家電の買い替えなどで、20年度までに約52兆円が必要と推計しており、温暖化対策の難しさも浮き彫りになった。
計算のベースにした2005年度は、京都議定書で削減のベースとされた1990年度より13%もCO2が増加しています。全国地球温暖化防止活動推進センター 日本の二酸化炭素排出量の推移(1990〜2005年)

経済産業省の計算を1990年度ベースに換算すると、20年度は1.7%、30年度は11.8%の削減にしかなりません。

これでどうやって「欧州委員会の掲げる目標に遜色ないレベルの排出量削減が見込める」のでしょうか。


日本は、2012年までに1990年比でマイナス6%を世界公約しています。

EUは2020年にマイナス20%を目標としているのに、この1.7%にどれだけの意味があるのでしょうか?

うがった見方をすれば、企業と家庭はこの程度で抑えてもらって、残りは公である「官庁」が引き受けるということでしょうかね。


実のところ、この試算は、

05年水準の機器を使い続ける場合(現状維持ケース)▽機器の耐用年数がくれば最新機器に買い替える場合(努力継続ケース)▽最先端の機器を最大限普及させる場合(最大導入ケース)の三つの想定パターン
であって、最大導入ケースでは、太陽光パネルが新築住宅の約7割に導入されたり、新車販売に占めるハイブリッド車などの次世代自動車のシェアが約5割に達する姿を想定しています。


生活者の視点で無駄なエネルギー消費を抑える「生活改善型」ではなく、新しい機器を導入して力ずくで削減しようとする「産業主導型」です。

この試算だと、家庭部門の省エネルギー対策負担が1世帯当たり年間で約4万円になるんだと。

金の力でCO2を削減しようとしても無理なことがわかりますね。

逆に、年間で4万円の支出削減をしたほうがCO2削減につながると思いますよ。


経済産業省の試算だから、金を使わせるためのつじつま合わせに過ぎません。

お国の『大本営発表』に騙されないようにしましょう。