・ゴミ処理施設は農業の救世主へ

候補地に決定した桜井、北新区 伊那毎日新聞上伊那広域連合が計画するゴミ処理施設の建設候補地が決まりました。

決まったといっても市民(市議が主だが)が主体となった用地選定委員会の決定です。

公的責任を負う議会や行政の決定は、この結果を受けて、それぞれの責任において決定されることだと思います。


用地選定の難しさは日本全国どこでも同様で、迷惑施設は自分のところに来て欲しくないという住民感情とのせめぎ合いになります。

委員会でも水面下では、委員に加わる伊那市議の地元が除外される方向で進められるなど、虚実を交えた委員会の審議だったようです。


「客観的に評価した」と委員長は言っていますが、ひいき目に見ても『主観を数字で表した擬似客観性』であることは否めません。

リスク評価の専門家を交えずに進められたために、「このくらいでどうだろう」が数値化されて積み上げられています。

これをもって『数値化された客観性』とするには、無理があるを通り越して、無謀です。

あくまでも、委員の思いや考えを評価に反映させる手法の一つとして、主観を尺度として表したに過ぎず、客観的な評価はこれから始まります。


候補地とされた地域住民も一生懸命に学習するでしょうから、委員会の評価手法を示されて「これでは客観性が担保されているとは言えないぞ」と真っ当な意見が続出するでしょう。

そうなった時に事務局がするべきは、「いえ、これはあくまでも客観的な評価です。」とごり押しするのではなく、「おっしゃるとおり、委員の考え方を数値で表してみたらこうなったという参考数値に過ぎません」と、リスク評価の何たるかを知った上で対応するべきです。


さらに、委員会の決定は、単なる答申のひとつに過ぎず、決定に責任を負うものではありません。

答申を受けた市長が、自身の責任において判断して議会に提案し、議会は伊那市民の代表者として真剣に審議した上で【議決】する必要があります。

間違っても、議会全員協議会で説明しただけの「見なし決定」とするような無責任なことはしないでもらいたい。


伊那市で行われていることとはいえ、この施設は駒ヶ根も含めた上伊那全体のゴミを処理する施設です。

また、昨日の記事に示したように、日本のリン不足が危機的状況に追い込まれた現状から、ゴミ処理ではなく、再資源化施設へと考え方を転換する必要に迫られています。

迷惑施設どころか、地域の農業を救う救世主となる施設をどこに誘致するのかに論議の方向性が変化することが考えられます。