・実習無効と未履修救済の不公平

調理実習イメージ (愛媛県の松山東雲高等学校ブログより)昨年のことになりますが、高等学校必履修科目未履修問題というがありましたね。

熊本県を除く46都道府県で、計600校以上、8万人を超える生徒が単位不足に直面した、あれです。

文部科学省の救済措置で事なきを得ましたが、まじめに履修した生徒と受験のために履修を割愛できた生徒の間で生じた不公平は残された格好になりました。


似たようなことが九州で再発しました。

北九州市小倉北区の私立真颯館(しんそうかん)高校の調理科で、男性教員が5月末まで約9カ月間、無資格で調理実習を指導していたことが分かった問題です。

男性は調理師免許の写しを改ざんして同校に提出し、男性が行った授業はすべて無効となり、生徒108人が補講を受けなければならないという。


厚生労働省の指導要領では、調理実習助教諭は調理師免許取得後、原則として10年以上の実績が必要で、 男性は77年8月に調理師試験に合格して山口県内のホテルなどでコックとして勤務していたが、03年まで免許申請を怠り、助教諭資格を満たすために免許取得時を「95年5月」に改ざんしたという。

 調理科の生徒は、規定単位を取って卒業すれば調理師試験なしで免許を申請できる。だが、学校側が厚労省に報告したところ、男性による実習はすべて無効で補講が必要と命じられ、調理科には1年生40人、2年生36人、3年生32人が在籍し、補講は1年生が20時間▽2、3年生が90〜120時間になる見通しという。


必履修科目未履修問題と比べると、厚労省のお役所対応が目に余ります。

原則として10年の実績が必要なところを、申請していなかったとはいえ30年もコックとして働いた実績は「原則の適用除外」を認めてもなんら実情に影響ないのではないでしょうか。

指導要領を杓子定規に適用して、生徒に無用な負担を強いる処置は、お役所仕事といわれても仕方がありません。


大勢の生徒が困った必履修科目未履修は救済しても、それと比較しても程度が軽く、ほとんど実害がないと考えられる一私立校に限られた実習は無効扱い。

おかしくないですか。