・ゴミ処理問題の解決は一緒に勉強

北新区で新ごみ中間処理施設懇談会 =伊那毎日新聞=21日夜、上伊那広域連合の新ごみ処理施設建設計画で、建設候補地の隣接区に対する初めての説明会が同市富県貝沼区の貝沼麦大豆等生産振興センターで開かれました。

報道によると、「市の担当者が出向いて説明するのだが、住民側の形相は親のかたきを迎え討つかのごとくだ。」というのだから、相互の信頼に基づいて建設的な意見交換ができていない。


その理由は、行政と住民側の双方にあると思います。

行政側は「絶対に必要な施設だからなんとしてでも建設しなければならない」と、建設容認を前提に話を進める。

さらに、「安全」だからと安心を押し付ける。

住民側は、不安が先行しているから、安心を突きつけられても信頼できない。


住民の不安を取り除くためには、安全であるという前提が行政側から出たものであり、住民側の認識に立っていないことを知るべきです。

絶対の安全などなく、行政側が許容されるとしたリスクの範囲内で安全が確保されているのだということを、住民が理解するにはどうしたらいいかを考える必要があります。


住民も、「焼却施設は猛毒を出す」と決め付けてかかるのではなく、煙突から出る有害物質は現在の環境レベルでは、どの程度の位置づけに相当するのかを知り、環境リスクを判断する学習が必要です。

行政と住民の相互に必要なのは話し合いではなくて、一緒に環境リスクについて学習することです。


行政側は、環境リスクについて「知ったつもりになっている」が本質を理解していない。

住民側は、環境リスクという相対的な価値観の判断に慣れていない。

どちらも、「環境リスク学」を基本から教えてもらわないと、いつまでたっても自分の殻を脱しきれず、相互理解の道は閉ざされたままです。


建設に前向きな住民も、「土地が高く売れるから」といった拝金主義は言うに及ばず、

「温泉施設ができる」

「道路が良くなる」

などの『オマケ』に目がくらむことなく、地域の将来(子供や孫の世代の利益)の価値判断が求められます。


『ゴミ処理』を取り巻く環境は、ここ数年で劇的な変化が予想されます。

地球温暖化はもとより、食糧自給、産業構造の変化、国際的安全保障、これらすべてにゴミ処理がが深くかかわってきます。

今の、「浅はかな認識」で行政と住民が張り合っても何も生み出しません。

まずは、お互いが協力して「ゴミ資源の置かれた今」を知ることから始めようではありませんか。