・ゴミ処理から、資源自給への転換

ごみ焼却学習会で挨拶する広域連合長の小坂・伊那市長一昨日開催された、ごみ焼却場が安全な施設だと住民に知らせるための学習会。

具体的な危険も例に挙げて、危険な施設を安全に管理する方策の実際を示していたことは、安全神話を押し付ける行政の説明会とは一線を画していました。

講師の、住民への不安を取り除いてきた経験がよく発揮された良い講演だったと思います。


意味のあった学習会であることを前提にして、あえて苦言を呈したいと思います。

第一に、これからのゴミ処理体系として示された循環型社会とゴミとの関係があまりも不十分です。

ゴミ処理の現場からの見方なので仕方がない面もありますが、紹介された模式図は将来を展望したものではなく、現状の取り組みにとどまっています。


遅れている自治体からすればこれからのあり方を示されたと捉えるかもしれませんが、激変するであろう今後の5年後10年後を展望した資源循環の視点からは立ち遅れた内容でした。

ゴミを「減量」「再使用」「再資源化」の3Rで減らした後に焼却処分する考え方がこれからのあり方だとしましたが、現状の追認に過ぎません。

ゴミの組成から考えた資源としての世界的な需要の高まりからすると、こうした考え方では成り立たなくなります。

その典型的な例が日本のペットボトルリサイクルです。


自治体によって収集されたペットボトルを無料で引き取り、再資源化することを目指した日本のペットボトルリサイクルシステムは、ペット樹脂の国際的な価値高騰で入手が困難となり崩壊しています。

ゴミは公衆衛生の邪魔者だから排除するとの考え方が根底にあるままでは、ゴミの資源としての価値に気が付かず、取り扱いを誤ってゴミ資源利用後進国の汚名を返上できません。

ゴミはすべてが資源です。

資源小国の日本が、このほとんどを焼却して無効化してしまっているのはあまりにも『もったいない』


国策の間違いがここにはあるのですが、資源を買い入れ、価値を高めて海外に売り、その差益で資源を買い続けるとする日本の産業システムはまもなく破綻します。(すでに破綻の兆候が現れている)

国内はもとより、地域内で資源の循環をはかることで外部に資源を依存する割合を下げ自給率を上げる。

大量浪費が認められない地球温暖化防止からも、絶対に避けられない道筋です。


ごみ焼却の安全性を高めるための一番の取り組みは、ゴミの総量を減らすことです。

しかし、これまでにもゴミを減らそうとする努力してきましたが、その効果が目に見えて現れないのは、努力した本人に恩恵が直接返ってこないからです。

ゴミを徹底的に分別することでゴミが資源へと変化し、地域に資源として供給され、そこで生まれた利潤が供給者に還元されるシステムつくりが求められます。


ゴミの減量化を住民に押し付けるこれまでのやり方を見直し、消費者が地域内の資源の供給源となる新たな展開を目指すべきです。

駒ヶ根市長には、この提言を伝えてあります。

これなくして、2008年から12年の5年間でCO2のマイナス6%はあり得ません。

2020年のマイナス25%、2050年のマイナス50%を目指すためには、高効率社会を築き上げるほかに特効薬がありません。


国任せではない地方主権の地球環境対策として、一刻も早く体制を整え、先進地域として名乗りを上げることを上伊那全域の自治体に望みます。

家庭ごみ処理機に予算をつけた程度で満足しているようでは、「井の中の蛙、大海を知らず」の恥ずかしい田舎者です。

「できることをやる」これまでの消極的な姿勢から、やるべきことの可能性に挑戦する姿勢へと行政職員の意識を変えなければなりません。

市民協働のまちづくりとは、井の中で守りに入る公務員を荒海に引っ張り出すことから始まると思います。