・「できることから始める」で陥るエゴ


地球温暖化防止の取り組みとして、地域循環型社会への転換を目指す動きが各地で始まっています。

農産物や建築資材、生活雑貨の地産地消は、当たり前のことですからどんどん取り組みが進んでもらいたいと思います。


身近に目を向けてみれば生ゴミの見直しが急がれます。

ほとんどが可燃ごみとして焼却されているのが現状です。

内容物のほとんどが有用な有機物で占められているのに、それらを空気中へ汚染物質として撒き散らしているのは本末転倒。


駒ヶ根市では試験的に生ゴミを回収して、堆肥化する取り組みが始まっています。

全市に波及させるまでには解決しなければならない課題も多く、業者任せではない市の本気の取り組みが求められています。


本気の取り組みといえば、市民の意識の低さが気になる。

地球環境を越えた人類の資源消費を見てみぬふりし、「できることから始めるのがいい」と、やるべきことから逃げる姿勢が目に付きます。

一般市民ならまだしも、市民会議などで率先して環境改善の取り組みに参加している人たちからも聞かれるので困ったものです。


その理由は、「できることから始めないと長続きしない」。

もっともだと思いますが、「できること」として取り組んでいることが、効果の裏づけもなく、ただやることに意義があるとの精神論に陥っていることが問題です。

結局は、問題の本質から目を逸らし、それらしきことをやっていることを免罪符として自己満足に利用している。


先日、ある市民会議でWWFの2008年版「生きている地球」報告書を紹介し、人類が資源の消費などで地球に与えている環境負荷の大きさは、既に地球の許容量を約30%上回っており、是正しないとやがて破局を迎えると伝えたところ、

『そんなに危機感をあおられても、できることからコツコツとやるしかないよ。俺はそういう話にはのれないな』


一般生活に例えれば、家庭の収入の1.3倍を浪費する放蕩息子がいて、貯蓄がどんどん目減りしている。

他の家族は、収入に見合った生活をしているのに、放蕩息子は「できることから節約するよ」といいながら、浪費額はほとんど減らない。

例えば、高額の高級スポーツカーを買うこと自体が浪費なのに、そのことは置いておいて、タイヤのグレードを下げたから節約だといっているようなものです。


結局は、自分が得ている『既得権』としての恵まれた生活に胡坐をかいてしまい、小手先のエコでごまかそうとしている。

何もしないよりはましだと思いますが、直面している危機を解決するために必要な手段には程遠い。

この差を埋めるには、どうしたらいいのか。