・魚の約4割が餌、食料の安全保障は

東京大学生産技術研究所資料より
世界で毎年捕られる魚の3分の1超は、魚の養殖や家畜の餌に使われ、直接、人間の口には入らないとの試算が、カナダ・ブリティッシュコロンビア大などの研究グループから発表されました。

発表によると、世界の漁獲量の37%に当たる3150万トンの魚が、餌などに使われたことが判明。

うち46%が魚の養殖用の餌、24%が養豚業向け、22%が養鶏業向けの餌だった。


食料の生産に消費される食物は、非常に効率が悪い使われ方をしています。

牛肉1kgを生産するのに11kgのトウモロコシが消費される。

日本国内で見ると、穀物飼料は2000トンを輸入してますが、これを生産するために必要な耕作面積は730万ヘクタール。

国内の農地面積は、474万ヘクタールなので現状の畜産物を自給することは絶対にできない。

食料自給率を上げるということは、食べ物の質を変えることを意味します。


畜産の餌として大量に消費される魚類、穀物よりも深刻なのが、水です。

1kgの牛肉に20tの水が使われます。

食料の生産には大量の水が必要で、実際の水ではないが、食料の中に潜んでいる水という意味で「バーチャルウオーター」(仮想水)と呼ばれている。


日本が大量の食料を輸入していることは、大量の水を海外に依存していることになる。

バーチャルウオーターの量は年間で約627億tで、これは国内の農業用水使用量(552億t、2004年)を上回る量です。


日本の食料は大変に危うい環境の上に成り立っていることを知ったほうがいいと思います。

自由経済に任せて金の力で食料を世界中から集めていると、バランスが崩れたときには一気に供給が途絶えてしまう。

国産に切り替えようと思っても、物理的に破綻しているので産業として成り立たない。


日本という国は、まったく自立できていない、人工的な栄養に支えられた寝たきり病人のような状態です。

食卓に上がる食材の多くが、アメリカやオーストラリアの水のおかげでそこにある。

世界の中で食べ物を求めて彷徨う国でいいのか、国民の生存を自国で守れる国を目指すのか。


軍隊よりもお金よりも重要な、食べ物の安全保障を真剣に論議する機会がそろそろ必要だと思います。