・嘘だらけの太陽光発電売り込み

太陽光発電の関連サイトはたくさんあるが、間違った情報を提供しているところが少なくない。

一番多いのは、太陽光発電の経済効果を示すために家庭の消費電力を計算対象にしているものだ。

何の気なしに眺めていると鵜呑みにしてしまうが、蓄電施設を持たない限りは太陽が出ている時間帯以外の消費電力は全く無関係だ。

私も何の気なしに眺めている一人だった。


どうして、こういう間違った表現がされるかと考えてみると、オール電化に引き込みたい電力会社の思惑にぶつかる。

「電気は太陽光でつくるからすべて電化した方が環境にいい」と、思い込ませたいのだろう。

太陽光発電のメーカーに見積もりを依頼すると必ず「ご家庭の消費電力は?」と、尋ねられるのがその一例だ。


太陽光発電と家庭の消費電力の関係を問うならば、昼間の電気使用量ということになるが、一般家庭でこれを把握していることはほとんどない。

一部、省エネナビを取り付けている家庭に限られる。

我が家にもこれが付いているが、一年間の消費電力が一時間刻みでパソコンに取り込める。

室温も一年分のデータがある。

なかなかの優れモノだ。


3年ほど前にモニター調査に協力することを条件に省エネルギーセンターから提供された。

担当者の説明によると「返さなくてもいい」ことになっている。

太陽光発電のコスト試算シミュレーションで、発電時間帯の消費電力を356kwと特定できるのは省エネナビのデータがあるからだ。

なくても一般的な電気の使用パターンから推察できるが、こんな丁寧なシミュレーションをしてくれるところにはお目にかかったことがない。


オール電化に引き込むために消費者を惑わしている一例にヤマダ電機がある。

太陽光発電オール電化 効果シミュレーション」というものだが、試しに入力したら下記のようなメールが届いた。


■最適なシステムは、約1.6kW のシステムです。
※ただし、屋根の条件により変化します。
・このシステムによる年間の発電量は、約1,728kWh です。
・この電気量を電気代に換算すると、約41,472円となります。
・年間電気代(現在:約60,000円)が、約18,528円に削減されます。

1年間の電気代、約41,472円の節約効果があります。

■さらにオール電化を併用すると
・最適なエコキュートは、460リットル(リットル)タイプの製品です。
・IHおよびエコキュートを導入で、ガス代・灯油代が不必要になります。
・年間のガス代・灯油代が、約54,000円かからなくなります。
オール電化を併用した場合の年間の太陽光発電の効果は、約48,384円となります。
・1年間の光熱費、約102,384円の節約効果があります。

要約すると、

「最適なシステム約1.6kWで年間の発電量約1,728kWh、オール電化を併用すると1年間の光熱費約102,384円の節約効果があります。」

理解不能だ。

エコキュートは深夜電力で使うのに、どうして太陽光発電で節約効果が生まれるのだろう。(時間帯契約で多少の差は生じるが)

年間のガス代・灯油代の54000円は、なぜかからなくなるのだろう。


大事な一言が抜けている。

「ガス代と灯油代は、電気料金としてお支払いいただきます。」

太陽光発電でガスと灯油が節約できるわけではない。


家電最大手のヤマダ電機をしてこの体たらくだ。

乱立するいかがわしい太陽光発電の売り込み業者のサイトにも、これに勝るとも劣らぬだまし屋がいる。

太陽光発電は、元が取れる場合もあるが、オール電化にしたら難しい。

電気の消費量を抑え、48円の売電価格のメリットを最大限に利用できた時に限られるからだ。

じゃんじゃん電気を浪費するオール電化住宅では、太陽光発電の買い取り価格上乗せの恩恵は少なくなると思った方がいい。(例外もあるが)