・義理人情で知事支援を決めてる?

長野県知事選挙に立候補を表明している松本、阿部の両名に共通するのが「市民派」というレッテル。

松本氏には、国政レベルの政党の支援はないものの一部の政党が主体となった組織からの支持表明はある。

一方の阿部氏は、連合長野の全面支援を受け、背後に隠した政権与党の民主党支援は重要なポイントだ。


阿部氏の政策は、週明けにも発表される見込みだが、民主党の色が濃く反映される可能性が高い。

未確認情報だが、長野県知事選挙が始まれば菅直人総理が阿部応援団として長野入りすることで調整が進んでいるらしい。

一国の総理大臣が応援演説する予定が前々から入っている市民派知事候補というのは、一般常識としては理解に苦しむ。


また、阿部氏が立候補するに至った背景に北澤俊美防衛相が深く関与していることは、民主党関係者なら知らないものはない。

知らないのは、阿部氏が無所属で長野県民のためを思って立候補したと信じている善良な支援者たちだ。

おかしな状況が理解できないのか、妄信すると心に決めているのかは分からないが、論理に明るい人ならば阿部+連合の組み合わせの奇怪さに気が付かないはずがない。


連合長野は、4年前に自民党と手を組んで村井知事を強力に支援したことをどのように理解しているのだろうか。

県庁改革(阿部氏は仕分けと言っているが)の最大の障害は、連合系県職員の既得権益だ。

田中県政で失われつつあった既得権益を村井知事が守ることを前提にしたから連合長野は自民党と手を結んだ。

実利を得るためなら労働組合としての理念など放り捨てる潔さが連合長野にはある。


阿部氏が優れた官僚であることに異論はない。

松本氏が知事になった場合でも、阿部副知事という選択があってもおかしくない。

阿部が知事になるという選択には、資質や背後関係の点から異論を唱えざるを得ないが、阿部副知事の復活にはもろ手を挙げて賛成できる。


民主党や連合と裏でどのような取引をしたとしても、知事になるのなら批判されるが、非を認めて副知事の職を通して長野県で贖罪(しょくざい)するならば長野県民は受け入れる度量の広さを持つ。

選挙まで一ヶ月ちょっとのところへ来たが、候補の支援を決めた人でも、アンテナを高くあげて義理や人情に縛られないで判断する時間的余裕はある。

自民党だろうが共産党だろうが長野県民であることには変わりがない。

政策に共鳴して支援してくれるならその人や組織に色をつけることの方が間違っている。


しかし、初めから組織と手を組むことを前提に立候補の準備を進めているようでは別だ。

長野県民のリーダーなのか、長野県民主党に都合のよいリーダーなのか。

自分たちが支援しようとしている人物の周囲をもう一度冷静に観察することが求められている人は少なからずいるように思える。